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元横綱稀勢の里・二所ノ関親方が徹底解説
第七回:貴景勝「隙間を埋める逆転の発想」
posted2023/03/01 09:00
text by
二所ノ関寛Hiroshi Nishonoseki
photograph by
Takayuki Ino(Illustration)
今回は、大関・貴景勝関です。3月12日から始まる春場所で、横綱昇進がかかります。私以来となる日本出身力士の横綱が誕生するのか、注目したいところです。
昨年の貴景勝関は初場所が怪我による休場、春場所、夏場所がともに8勝と、厳しい場所が続きました。しかし、11月の九州場所は12勝3敗で優勝決定戦に進み(結果は阿炎の優勝)、今年1月の初場所も12勝3敗で2年2カ月ぶり3度目の優勝と、復調を見せています。
私が審判として土俵下で見ていて、彼の本領が戻ってきたなと感じたのは、その九州場所の千秋楽で若隆景関を破った一番でした。あの分厚い腰で下半身を安定させて、左の張り手もかましながら、得意の突き押し相撲で終始相手を圧倒していました。あの腰の強さは、角界随一ですね。