“闘う女優”たちのこれからの道

　アクトレスガールズは新体制になって1周年を迎え、2月17日の公演からシングル王座決定トーナメントを開始する。青野がリングでアピールして決まったことだ。

「新体制での試合でエースと呼ばれるようになって、それをはっきり形にしたいなと。旧体制でシングルのベルトが巻けなかった心残りもありますし」

　青野にとってベルトはエースの証明だ。今のアクトレスガールズは何もかもが曖昧で、だから余計に“形”が必要なのかもしれない。ベルトの必要性は松井も訴えていたことだ。ベルト争いをすることで、リングの上に“流れ”が生まれる。選手たちが何を目指しているのかがはっきりする。1月29日の公演では、青野、松井、入江の3way戦が行なわれた。トーナメントの行方を占う一戦は青野が松井に逆転勝利。青野が結果を残したが、松井と入江の充実ぶりも目立った。トーナメントにはこの3人に加え、元スターダムの澄川菜摘、新世代の夏葵、皇希がエントリー。6人トーナメントという変則的な構成は、厳選されたメンバーゆえだ。頭数だけ合わせた8人ではないところがポイントだろう。

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「今ベルトをかけて闘うのにふさわしい6人だと思います。誰がチャンピオンになっても面白い。もちろん私がなりたいですけど」

　ベルトをかけて「闘う」という表現に嘘はない。プロレスの練習をして、リングで技を繰り出し、受身を取り、喜怒哀楽を表現することに関しては以前と同じ感覚だ。だからこそもどかしいのだが、ともかく青野たちが“闘う女優”であることに変わりはない。

「だからやっぱり……もっと自信をつけたいです。いずれは独自のエンタメを作って、団体を大きくして注目されるようにしていきたい。そのためにも、新人も含めてプロレスの力を上げていかないと。それがベースなので」

　アクトレスガールズは何を見せるのか。従来のプロレスと何が違いどう面白いのか。1時間半インタビューしても答えは出なかった。「すいません、悩み相談みたいになっちゃいましたね」と青野は笑う。なんとなくごまかして“プロレス記事っぽい”受け答えをするというやり方もあるのだが、彼女はそれをよしとはせず、葛藤を隠さなかった。悩む姿それ自体が魅力と言えばいいだろうか。今の青野未来には、作り込んだエンタメよりもドキュメンタリーが似合う。

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