フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
謝る村元哉中に高橋大輔は「大丈夫、大丈夫」転倒もあった演技直後、2人が交わした“会話の中身”…結成3年目、かなだいの絆はこう深まった
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAFLO
posted2023/02/16 17:02
四大陸選手権では9位となった村元・高橋。それでも、3年目の絆や収穫の見える大会だった
2人の言葉から感じる“絆とリラックス”
そんな中でも、収穫はあった。
「ミスが目立った試合だったんですけど、自分たちの中ではレベルアップしているのを感じる。レベルの方もターンとかはジャッジに評価されてきている。あとは練習を積み重ねて世界選手権に向けてやっていくだけかなと」と村元。
「標高が高い中で、ミスがあったものの滑り切れたというのは、自信が少しついた。平地だったら簡単に……簡単じゃないですけど」と高橋が言葉を切ると、「簡単にできちゃう」と村元が笑いながら続けた。
組み始めて3シーズン目。最初はお互いに遠慮があったが、今では二人とも良い意味でリラックスし、パートナーシップの絆が深まっているのが言葉の端々に感じられる。
この大会は、国際大会としては結成してから8試合目。試合慣れをしてきた手ごたえも感じると村元。
「NHK杯とかでは、周りのチームに目がいっちゃっていたというのがある。今回は周りが気にならなくなった。そういう意味ではトップチームとの試合経験が役に立っているのかなと思います」
村元が「鳥肌が立った」理由は?
3月の埼玉での世界選手権に向かう気持ちはどうなのだろうか。そう聞くと、「先日大ちゃんに聞いたんですが」と前置きしてから村元がこう切り出した。
「前回日本で(高橋が)世界選手権に出た時、『オペラ座(の怪人)』を滑った年で、それを聞いて、また日本開催の世界選手権で(『オペラ座の怪人』を滑ることに)鳥肌が立った」
2007年東京世界選手権で、高橋が銀メダルを手にして初めて世界選手権の表彰台に上がった時のことだ。
「やはり日本で滑るというのは特別な思いです。シーズン最後は、パーフェクトな演技を見せたいです」と村元。
興味深い附合は、それだけではない。実は11年前、今回のフリーダンスのあった日の前日になる2月11日、高橋はこの同じ会場で四大陸選手権の表彰台に上がっているのだ。パトリック・チャンに次いで2位だった。
「そうなんですね」と驚く高橋に、11年ぶりに同じ会場に戻ってきた感想を聞いてみた。
「本当に良い経験になりましたし、まさかアイスダンサーとして四大陸に出ることになるなんて……まあ去年も出ましたけれど、人生何があるかわからないな、と思います」
3月には日本のファンの前で、二人の今季ベストな演技が見られることを期待したい。
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