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牧秀悟はブルペンで何を見てた? 往年の“ドラ1名リリーフ”と大魔神・佐々木主浩は今の投手にどんなアドバイスを?〈DeNAキャンプ観察〉
posted2023/02/11 11:03
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
横浜DeNAベイスターズは今年、ユニフォームを一新した。正面と背中の中心に青いラインが入っている。一本芯が通るとは、こういうことか。着こなしによって、ラインの長さが違って見えるのも面白い。
キャンプ地をめぐっていて、チームカラーの違いを特に感じるのは――準備練習からアップの時だ。ソフトバンクや巨人は、全員が揃ってランニングをする。トレーナーの指示でダッシュしたり、身体を動かすのも、みんな同じだ。最近のオリックスもそうで、規律を大事にする気風だと感じられる。
その一方でDeNAは、外野に集まった選手たちが思い思いに体を動かす時間が長い。トレーナーは選手たちを見ているが、みんな揃って体を動かすのではなく、自分なりのアップをしている。これもプログラムのうちで、「あと5分」とトレーナーが声を上げた。その後、短くダッシュをして、本塁前に戻ってバンドを使ったトレーニングなどをしてキャッチボールへと流れていった。
牧の風格、石田のストレートに驚き…
やはり目立つのは、牧秀悟だった。横浜DeNAでは侍ジャパンに今永昇太とともにに選ばれている。まだ入団3シーズン目、WBC野手陣ではヤクルトの村上宗隆に次ぐ若さだが、キャンプでキャッチボールをする姿は、すでに中心打者の風格がある。気負っていないし、偉ぶってもいないが、すでに「中軸」の存在感がある。
その奥では中日から新加入の京田陽太も体を動かしている。
DeNA春季キャンプのブルペンは、少し前まで陸上競技場の向こうにあった。選手やコーチが自転車で移動するのをよく見かけたが、今は室内練習場の横にある。6人が同時に投げることができる。
スケジュール表には
〈11:20~ピッチング (1)14、62、27 (2)13、22、95 (3)18、24、92〉
とある。(1)石田健大、エスコバー、上茶谷大河、(2)伊勢大夢、入江大生、石川達也、(3)小園健太、吉野光樹、宮城滝太が順番に投げていった。
一番手前のレーンに機器が設置される。ポータブル型トラッキングシステムのラプソードだ。他球団では移動タイプのトラックマンが設置されることもある。主力投手は、これらの機器が設置されたレーンで投げることが多いのだ。
最初の組では、やはり昨年先発で7勝を挙げた石田健大が、ラプソードを設置した一番手前のレーンに姿を現した。ゆっくりと間合いを取りながら、徐々に球速を上げていく。DeNAのブルペンでは報道陣と選手の距離が近い。筆者の耳元をシュッという音を立てて速球が通過していく。これにはひやひやするほどの感覚を覚えた。