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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「鳥栖を変えてほしい」と請われた川井健太監督の“仮説と指導プラン”が独特!「ミーティングは短編映画のように…」大きかった山形での出会い
posted2023/02/08 11:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Atsushi Iio
――1月21日に行われたベガルタ仙台との練習試合ですが、あと5分、10分で試合が始まるというタイミングで川井監督がホテルからのんびり歩いて来られて。その登場の仕方がまるで漫画の主人公のようでした(笑)。いつもあんな感じなんですか?
川井 そうですね(笑)。もちろん、ミーティングは済ませていて、あとはコーチたちに任せています。僕がミーティングで話したことがすべてであり、試合前に何かを言わないといけないということは、ミーティングで伝え切れなかったということ。そうではなかったから、僕はゆっくりと。
――やるべきことはやったという面と、コーチ陣を信頼しているという面と。
川井 おっしゃる通りですね。去年からの繋がりで考えられる部分もあるんですけれども、僕は今、選手をしっかり見るところに力を注いでいます。だからと言って、トレーニングは「勝手にやってよ」ではなく、事前にコーチ陣とコミュニケーションをしっかり取っています。トレーニング中に気になることがあったとしても、あとでいくらでも修正できる。そこには自信を持っていますので。コーチ陣にはやりがいを感じてほしいなと思っています。
パワーをすごく感じる小林祐三SDの言葉
――昨シーズン、サガン鳥栖の監督に就任されたのは、小林祐三スポーツダイレクターから声が掛かったのだと思いますが、琴線に響くような言葉はあったのでしょうか?
川井 振り返ってみれば、監督就任まではドラマのような期間でしたね。小林からそういう話をもらって。それまでに面識があったわけではなかったので。
――2021年3月に、小林さんがホストを務めるポッドキャストの番組にゲストとして招かれたのが初交流だったんですよね?
川井 そうなんです。言葉というと……やはり「監督をやってください」という言葉がシンプルに強く響きましたかね。その後もマメに連絡をくれて。彼と話していると圧を感じるというか、いい意味で、パワーをすごく感じるんです。
――ポッドキャストに出演されてから親交を温めていたんですか?
川井 いや、まったく。あのときだって対面したわけではないですから。なので、本当に突然でした。
――サッカー観や価値観が合うなど、お互いにピンとくるものがあったのでしょうか?
川井 あったと思います。そこはむしろ、小林のほうが感じてくれたんだと思います。いくら合うからと言って、僕から「お願いします」と言えるものではないので。小林が僕に任せたいと思う部分があったんじゃないか、と思っています。
選手が主体的にチャレンジしていかなければ
――昨年の新体制発表会で川井監督は「クラブの価値を上げたい」とおっしゃっていて。一方、小林さんも今年、「サガン鳥栖に関わる人たちの幸福度を上げたい」と。サッカーだけに留まらない価値観に近いものがあるように感じました。
川井 それはありますね。試合に勝つことが目的ではあるんですけれど、僕と小林の中ではもしかしたら、それは手段かもしれないです。ファン・サポーターを含めてサガン鳥栖に関わってくれている人たちを幸せにすることが目的で、そのために試合に勝つ。そういう感覚は、小林と合っていましたね、完全に。
――サッカーというスポーツを手段に、関わる人たち、地域の人たちを幸せにしたいと。