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WBCを一度は辞退…“絶不調”福留孝介はなぜ“あの代打決勝弾”を放てたのか?「打撃フォームを変えていて…」「あの人たちの影響もあった」 

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鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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photograph byNaoya Sanuki

posted2023/03/10 11:02

WBCを一度は辞退…“絶不調”福留孝介はなぜ“あの代打決勝弾”を放てたのか?「打撃フォームを変えていて…」「あの人たちの影響もあった」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

2006年WBCの準決勝、韓国戦。0-0の7回1死二塁、代打で登場した福留孝介の一振りが、決勝2ランとなった

「今の状態でできることをやるしかないから、練習できる環境があるならやる。それは、やっぱりあの人たちの影響もあった。試合に出られない中で、裏方の仕事をしてくれたり、全員で戦っているんだという姿勢を見せてくれたことが大きかった」

 福留が「あの人たち」と表現したのは、代表チーム最年長の谷繁元信と宮本慎也のことだった。所属球団では不動のレギュラーだが、代表ではバックアップとしての立場を受け入れ、身を捧げていた。

チームはレギュラーだけで成り立つものじゃない

 谷繁は当時の覚悟をこう語る。

「実戦に出られないだけじゃなく、バッティング練習も短い。正直、開幕が近いから日本に帰ってからのことも考えておかないと、という気持ちもあったよ。でも、チームはレギュラーだけで成り立つものじゃない。我慢するところは我慢しないといけないと自分に言い聞かせていた。チームが動いていく中で何をすべきか。(宮本)慎也と話して、やれることをやっただけ。だって日の丸を背負っているわけだから」

 コーチや裏方の人数が限られていたため、谷繁は日々の練習で打撃投手を買って出た。ゲームになれば、ベンチとブルペンの連絡係をやり、正捕手の里崎智也が情報を欲した時にはいつでもサポートできるようにと、時間を見つけて、相手打者のデータを頭に叩き込んでいた。

 だからかもしれない。谷繁はどこかチームを俯瞰して見ることができた。なぜ、これほど能力の高い選手が集まった日本が韓国に2度も敗れてしまったのか、それについて思い当たることがあったという。

谷繁が考える、韓国に2度負けた理由

「例えば打者なら狙い球を絞って、それをとらえられたか、とらえられなかったか。投手なら相手の情報を頭に入れて組み立てる中で抑えられたか、打たれたか。そういうことが何より優先されなければならないのに、それより上に『負けられない』という思いがきてしまっていた。今思えば、やるべきことをやり続ければ勝てるはずなのに、先のことを考えてしまっていたのかな」

【次ページ】 福留に降り注いだ爽やかな日差し

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