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「今だから言えますけど…」モンスター井上尚弥29歳が告白する“減量のキツさ”「12月のバトラー戦、前ももがつりそうだった」

posted2023/01/15 17:02

 
「今だから言えますけど…」モンスター井上尚弥29歳が告白する“減量のキツさ”「12月のバトラー戦、前ももがつりそうだった」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

1階級上のスーパーバンタム級転向を正式表明した井上尚弥。Number最新号で独占インタビューに応じた

text by

渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

発売中のNumber1066号では、各界の超一流アスリートのフィジカルを特集。巻頭では先日4団体のベルトを返上した井上尚弥選手が、スーパーバンタム級での戦い方の展望や体づくりの変化を語りつくした「4団体統一ボディはまだ進化の途中」を掲載。そのロングインタビューから一部を抜粋する。【全2回の2回目/#1へ】

◆◆◆

スーパーバンタム級転向「1.8kgの差」

 そして今年、30歳になる年に足を踏み入れるのがスーパーバンタム級だ。この新たな階級にはバンタム級に上げたときよりもさらに高いハードルが待ち受けているのではないかと、井上は考えている。

「体のフレームがよりデカくなりますよね。相手の耐久力が上がって、距離も遠くなる。そうすると今まで倒せていたものが倒せなくなる。相手の顔色が変わるようなクリーンヒットがそうじゃなくなって、自分のパンチを恐れずに中に入ってくる。ガラッと変わってくるところがたくさん予想されます。距離でいえば1、2cmの違いがものすごく遠く感じるかもしれない。だから体作りもこれまで以上に大事になるし、戦い方も変わっていくと思います」

 18年5月、バンタム級に上げた初戦の相手となったWBA王者、ジェイミー・マクドネルは身長175cmという今までに経験したことのない長身選手だった。ところが結果は井上の1ラウンドTKO勝ち。パワーもスピードもケタ違いで、クラスを上げた不安をまったく感じさせなかった。

 スーパーバンタム級でも、バンタム級に上げたときと同じように難なく勝利してしまうのではないか。そのような楽観的な見方を本人は強く否定する。

「マクドネルはバンタム級でも規格外の体格でしたけど、減量で体はボロボロでした。その結果、ああいう倒し方ができた。それでもあの試合、ファーストパンチは相手に届いてないんですよ。じゃあこれがスーパーバンタム級の骨格で、フレッシュな選手だったらどうなのか。よく動けるだろうし、パワーも発揮してくる。そう考えると簡単にいくとは思えないんです」

「じつは…前ももがつりそうな違和感があった」

 わずか1.8kgの差が大きな壁になる危険性がある。モンスターの注意は細心だ。一方で階級アップはリスクばかりではないという読みもある。1.8kg増がプラスに働く部分もあるのだと。

【次ページ】 「じつは…前ももがつりそうな違和感があった」

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