「何度もビアッリに電話で助言を求めていたのです」

　現在の会長には窮状を見かねたスクデット時代の元チームメイト、マルコ・ランナが名誉職的に就いている。クラブが抱える借金は最大1億5000万ユーロともいわれ、超緊縮財政で経営はままならない。ほぼ孤立無援状態のランナ会長を支えていたのはビアッリだった。

「実は会長としてどう振る舞うべきか、何度もビアッリに電話で助言を求めていたのです。彼の心にはいつもサンプドリアがありました。彼が会長をやりたかったのは知っています。ですが、この現状では……。何とかクラブの歴史にビアッリの名は残したい。彼が在籍したチェルシーにユベントス、クレモネーゼを招いて、ビアッリの名を冠したチャリティ・トーナメントの開催をいつか実現できたらと願っています」

　ビアッリは天に召された。

　彼が愛したサンプドリアは、今季セリエAで降格圏に低迷している。今こそ、かつてビアッリらが奇跡を起こした“サンプドーロ（黄金のサンプ）”の心意気を思い出すときだ。

1月8日のナポリ戦でサンプドリアイレブンは「VIALLI 9」のユニフォーム姿で入場した　©Getty Images

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　後編は、地方都市クラブによる最後のスクデットとなった32年前の奇跡を描いた秘蔵ストーリー。なぜサンプドリアが当時世界最強リーグといわれたセリエAで優勝できたのか。ビアッリやマンチーニらが立てた“誓い”とは。奇跡のタイトル獲得に迫る「1991年のサンプドリア」、ぜひご一読下さい。

　＜#2につづく＞

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