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カタールW杯の“斬新過ぎるマスコット”ライーブの熱狂が凄かった! 現地取材した記者が空港で買った“ぬいぐるみ”の値段は…
posted2023/01/14 06:00
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Getty Images
カタールW杯中、現地の取材陣やファンの間では“彼の不在”を嘆く、こんな会話が挨拶がわりになっていた。
「ライーブ、売ってた?」
「ない。全然ない。FIFAショップの店員は『もうすぐ入荷する』って言ったのに……」
ライーブとは、アラビア語で「超一流の選手」を意味する大会公式マスコットのこと。このライーブグッズが、北京五輪のビンドゥンドゥンに負けず劣らず完売状態となった。
マスコットと言えば、犬やパンダなどかわいらしい動物をモチーフにしたものが一般的。ところがライーブは、カタール男性の民族衣装トーブをモチーフにした斬新なキャラだ。“超一流選手”だけあって、過去のW杯全大会に参加し、サッカー史に残る数々の象徴的なゴールなど名場面に貢献してきたという驚きの経歴(設定)を持つ。中でも1986年大会準々決勝、アルゼンチン対イングランド戦でマラドーナが決めた“神の手”ゴールは、実はライーブが右手(右袖)で押し込んでいたとカミングアウトするのだから衝撃だ。
品切れ続出となったライーブグッズ
ただし、致命的な弱点もある。民族衣装という非生命体をモチーフにしてしまったばかりに、マスコットグッズの定番であるぬいぐるみにすると、立たない……。実際、販売されていたライーブぬいぐるみは、厳重に封をされた箱の中で満面の笑みを浮かべているが、いざ取り出してみると地面にぺったり。自宅に飾るには、頭の上につけられた紐をフックに引っ掛けるしかなかった。
一方で、民族衣装をモチーフにしたからこそのオリジナル商品が大ヒットした。頭から被る帽子タイプのライーブだ。こちらは各国サポーターがスタンドでコスプレするための定番アイテムとなり、強烈すぎるクーラー対策としても威力を発揮した。気になるお値段は110カタールリヤル。1カタールリヤル=38円換算で4180円なり。
開幕当初はオフィシャルショップやドーハ市内のショッピングセンターでも大量に売られていたが、11月27日の日本対コスタリカ戦の頃にはすっかり品切れに。“ライーブ帽子難民”が大量発生する事態となった。
筆者もその1人。ようやく帰国日の空港でぬいぐるみバージョンを発見し、値札も見ずに2個購入すると、レジで震えた。サイズは帽子バージョンより小さいのに、お値段1個199カタールリヤル、7562円。高っ。長引く円安を呪ったカタールラストデーだった。