将棋PRESSBACK NUMBER
〈マンガ〉藤井聡太五冠「タイトル戦勝率1.000」がスゴい一方で「豊島将之九段と思わず笑っちゃった」のはなぜ? 年末の将棋名シーン
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph by日本将棋連盟/Junsei Chida
posted2023/01/04 17:00
観る将マンガ家が描いた「2022年12月の将棋ハイライト」。過去のイラストは関連記事からご覧になれます!
その間に挟まれた23日の順位戦A級でも勝利(2人ともすさまじい姿勢で手を読み合っていました……)するなど、好勝負を見せ続けてくれました。
なお23日の勝利で藤井竜王の公式戦通算勝利数は「300」に。羽生九段が四段昇段後6年4カ月、21歳7カ月で到達した最年少記録を「6年2カ月、20歳5カ月」に更新しました。順位戦A級首位に立ったことで“最年少名人”の期待も高まるなど――数々の記録が藤井竜王について回る中で、どのような戦いを見せてくれるのか。
あと僕たち夫婦で観に行った「将棋オールスター東西対抗戦2022」でも藤井竜王が楽しそうだったんですが……それは後ほど!
2)将棋界で起きた驚きのトピック
将棋界全体の話題も振り返ってみましょう。まずは藤井竜王パートでも触れた順位戦から。トップオブトップのA級昇級争いも佳境を迎えています。
<順位戦B級1組成績・上位5人>※2022年終了時点
中村太地七段 8勝1敗
佐々木勇気七段、澤田真吾七段 6勝3敗
近藤誠也七段 6勝4敗
山崎隆之八段 5勝4敗
昇級争いを一歩リードしているのは太地七段です。22日の山崎八段との対局を制し、次局の澤田七段戦に勝利すれば自身初のA級昇格が決まる状況に。ただ太地七段は残り3局の対局相手が澤田七段、屋敷伸之九段、羽生九段と実力者ぞろい。この大一番でどんな力を見せるか――。
そのB級1組でまさかの事態が起こったのが近藤七段-千田翔太七段戦です。対局開始の合図を受けて先手の近藤七段が……のはずが、初手を指したのは後手の千田七段。ここで終局となりました。先手と後手を間違えて反則負けが起こり得るとは……。
順位戦はあらかじめ先手後手が決まっている中で、報道によると“先手番と思いこんで作戦を準備していた”そうです。実際、太地七段もYouTubeで「間違えそうになったことがある」と語っていたことがあります。サッカーのキックオフのようにどちらかがボールに近いわけじゃないから、そういった間違いの起こる可能性も介在するのかもしれない、と色々なことを考えました。
千田七段の無念さは計り知れませんが……実力者であるのは確かで、“気持ちを切り替えていきます”とのコメントも見ました。1月12日には羽生九段との順位戦も控えていますし、今後の糧になることを心から願っています。
将棋界全体で見ると、プロ編入試験に臨んでいる小山怜央アマが12月12日、第2局の岡部怜央四段に勝利して2勝0敗とし、「あと1勝」としています。将棋への思いから企業を退職して挑んでいる姿はもちろん、僕の故郷である岩手出身初のプロ棋士誕生が目前、ということで全力で応援します!