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「あんな弱い奴に何ができる、とバカにされ…」デビューから15年、スターダム王者・朱里が女子プロレス大賞に輝くまで《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/12/27 17:04
2022年、朱里はワールド・オブ・スターダム王座を10度防衛し「女子プロレス大賞」を受賞。12月29日には元同門・ジュリアとの大一番に臨む
「あんな弱い奴に何ができる」と言われた過去も
そんな朱里に東京スポーツの「女子プロレス大賞」という栄冠が加わった。
「プロレスを始めたときは、そんな賞のことなど考えもしなかったし、かするとも思っていませんでした。自分とは関係ない、他の人のためにあるものだと……。手が届くところまで行けるとも思わなかったです。キックボクシングとMMAでそれぞれチャンピオンになり、UFCに出ても、日の当たる場所では扱ってもらえなかった。もちろん悔しさはずっとありました。スターダムに来て、やっとここまで注目してもらえた……。本当に嬉しいです!」
2008年にハッスルで初めてリングに上がって14年間、地道にプロレスを続けてきたことがこの受賞につながった。
「11月でプロレスラーになって15年目に入りました。プロレスには感謝しかないです。今でこそ『朱里は強い』と言ってもらえますが、最初は『あんな細くて弱い奴に何ができるんだ』と言われ、バカにされていました。でもそんな時代があったから、絶対に見返してやるという気持ちでやってこられました。いいこともつらいことも、いろいろ経験してきたからこそ、こみ上げてくる感情があります」
朱里はこれまでの道のりを踏みしめるように、「本当に続けてきてよかった」と繰り返した。
「こんなに長くプロレスラー人生を歩むとは思わなかったです。そもそも、最初は女優になりたかったのに(笑)。ハッスルに入ったときは、25歳あたりでやめるんじゃないかなと考えたこともありましたし……。それがスターダムで最高峰の赤いベルトを巻いて、10回防衛して……。プロレスって人にパワーや感動を与えられるものだと思うんです。出会えて本当に良かった。始めた頃は、もういっぱいいっぱいでしたね。お金もないし、雑用ばかりで、ただただがむしゃらに動いていた。でも今は心からプロレスが大好きになれました」
新ユニット結成は負担ではなく「進化のチャンス」
2022年は朱里にとって「動き」のある1年だった。3月、ジュリア率いるドンナ・デル・モンド(DDM)を離れ、4月にはゴッズ・アイ(God’s Eye)という新ユニットを結成した。
ゴッズ・アイの現在のメンバーはMIRAI、壮麗亜美、稲葉ともか、ななみの5人だ。将来性豊かな若手が加わり、ユニットとして引き締まってきた。