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リバティアイランドが見せつけた「名牝の予感」…阪神JF勝利後、川田将雅のコメントから感じた“ゆるぎない信頼”「もう負けることはないな、と」
posted2022/12/12 17:01
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
とてつもないポテンシャルを秘めたニューヒロインが、仁川のターフをかろやかに駆け抜けた。
第74回阪神ジュベナイルフィリーズ(12月11日、阪神芝外回り1600m、2歳牝馬GI)で、川田将雅が騎乗した1番人気のリバティアイランド(父ドゥラメンテ、栗東・中内田充正厩舎)が2馬身半差で優勝。桁違いの瞬発力を発揮して、2歳女王の座を射止めた。
リバティアイランドが見せつけた“圧倒的な速度差”
中団の外目につけたリバティアイランドは、先頭から4、5馬身遅れて直線に入った。阪神芝外回りの直線476.3m(Bコース)は、その差を逆転して、さらに突き放すのに十分すぎる長さだった。
川田が軽く促すとじわっと加速。内の馬に寄られて手前を右に戻す局面もあったが、十数完歩でまた左手前にスイッチすると、ラスト200m付近でさらにギアを上げた。そこから他馬との圧倒的な速度差を見せつけ、ひとり舞台のゴールを駆け抜けた。勝ちタイムは、ウオッカ、ソダシと並ぶレース史上2位タイの1分33秒1。
2馬身半の着差は、あと何百m走っても縮まらないように見えた。
この勝利で2歳GI完全制覇を果たした川田はこう振り返る。
「この馬らしい走りをみなさんにお見せすることができて、ほっとしています。彼女自身が取りたいポジションを取らせてあげて、あとはリズムよく走ることに重きを置いて進めました。直線に向いてからも手応えのとおりの反応をしてくれたので、もう負けることはないな、と。あとは無事にゴールするだけでした」
デビュー3戦目の2歳牝馬に対するコメントとは思えないほど、馬の強さに対する揺るぎない自信と信頼が感じられる。なお、川田は水曜日に香港の騎手招待競走に出場する予定だったが、出国前の新型コロナウイルス検査で陽性となって辞退。土曜日の検査で陰性が確認され、この日から騎乗できるようになっていた。
「個人的なことで、みなさんにご心配とご迷惑をおかけしました。無事にこうしてルールのもと戻ってくることができ、今日乗れたことをありがたく思いますし、リバティアイランドが一番いい結果を得てくれて、ほっとしています」