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「ごめんね…1000円貸してくれる?」40代後半の錦鯉・長谷川が後輩芸人に「これで煙草が買える」家賃4万円台アパートで貧乏していた日々
text by
鈴木工Takumi Suzuki
photograph byM-1グランプリ事務局
posted2022/12/05 17:01
昨年のM-1グランプリ。ボケの長谷川雅紀は50歳、ツッコミの渡辺隆は43歳、最年長王者となった
「長谷川さんのコンビはアルバイトに疲れていて、2人ともかなりのオッサンに見えました。でも舞台で他の芸人がハキハキ頑張っている中、1組だけ疲れているのが目立って、かえって面白かったですね。入ってくる前に地方局でレギュラーを持っていたけれど、その分完成しているという感覚は全くなかったです。渡辺隆のほうがきちんとネタをやっている印象でした」
両者とも漫才のボケを担当。ライブの観客投票によって芸人を4クラスに分けるランキングシステムの中、両コンビとも1番上と2番目のクラスを行き来していた。やがて行き詰まった各々のコンビが解散すると、渡辺は30代、長谷川は40代に突入。2人はピン芸人に転身する。華々しい結果は出なかったが、先輩芸人のハリウッドザコシショウは渡辺のツッコミに注目していた。
「僕の主催するライブでコーナーのMCをやってもらっていたんです。そうしたらうまくツッコんでいたから、ボケよりもツッコミが向いているんだなと。だから2人が組むと聞いた時は、渡辺がツッコミならええんちゃう、って思いましたね」
「くりぃむしちゅーの有田さんに憧れていた」
12年、「気心も知れていた」「本当にこの人面白いなと思っていた」という理由で、渡辺が長谷川を誘って錦鯉を結成。早速、大きな漫才コンテストだったTHE MANZAIにエントリーするが、全く歯が立たなかった。
この低迷期、長谷川はザコシショウから「おまえはバカなんだから、もっとバカになれ」というアドバイスを受けて、中年が元気さを剥き出しにするスタイルを確立したことを公言している。ザコシショウは「確かに言いましたね」と述懐する。