ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
石川遼「ハングリー精神がある選手が増えた」7年ぶりの“消化試合”なのに男子ゴルフ最終戦がなぜ白熱? 158cm比嘉一貴は2億超えなるか
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph bySankei Shimbun
posted2022/11/29 11:01
最終戦を前に初の賞金王を確定させた比嘉一貴(27歳)。JTカップを制すれば、2001年の伊沢利光以来となる獲得賞金2億円に到達する
これだけ若手の名を挙げると、27歳の比嘉ですら世代的に中堅であるというのがよくわかる。最終戦のフィールドで、日本人選手の最年長はディフェンディングチャンピオンの谷原秀人(44歳)。31歳の石川遼も半分より上である。
11月、石川は三井住友VISA太平洋マスターズで優勝した。スイングの大改造を経て掴んだ3年ぶりのタイトル。来場者を無料で受け入れ、4日間で2万6000人以上のギャラリーを集めた大会での出来事に、同い年の木下稜介は「やっぱり(石川は)持ってますね。試合の流れ的には(プレーオフで戦った星野)陸也にあるのかなと思っていた。でも、50回大会で、あれだけのお客さんの中で……」とうなった。
その言葉も今季がやはり、20代の選手たちの台頭が目立ち、30代前後、あるいは40代が気圧される雰囲気があったからこそだった。
ゴルフ日本シリーズJTカップで3勝目を目指す石川は、増えた後輩選手たちを見て言う。「向上心があって、ハングリー精神がある選手が本当に増えました。僕もそうだし、彼らはたぶん優勝の先を見ている」
穏やかな秋の季節は今年もあっという間に去り、師走の間近に気温はぐっと下がった。東京は明くる年への、あるいは海の向こうへの出発地点。2022年のシーズンラストゲームに集まったのは、ここを最終目的地にしない選手たちばかり。消化試合ではなく、吸収の機会にしようと必死なプレーヤーたちである。