ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
石川遼「ハングリー精神がある選手が増えた」7年ぶりの“消化試合”なのに男子ゴルフ最終戦がなぜ白熱? 158cm比嘉一貴は2億超えなるか
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph bySankei Shimbun
posted2022/11/29 11:01
最終戦を前に初の賞金王を確定させた比嘉一貴(27歳)。JTカップを制すれば、2001年の伊沢利光以来となる獲得賞金2億円に到達する
シーズンの後半戦、話題を牽引したのは21歳だった。蝉川泰果は9月、パナソニックオープンで前年の中島啓太(22歳)に続いてアマチュアとして史上6人目のツアー優勝者になった。1カ月後の日本オープンでは比嘉を破って2勝目。アマによる2勝は史上初、ナショナルオープン制覇は1927年の第1回大会以来95年ぶりの快挙だった。
まだ東北福祉大の4年生。10月末に、日体大の中島を追うようにプロの世界に飛び込んだ。全身を鞭のようにしならせ、上半身と下半身の屈曲がキープされたままフォローに抜けるスイングが若々しい。ドライバーショットは300ヤードを軽々と超える。
誰もが驚く破壊的なドライバーショット
ただ、その300ヤードというフレーズは今、日本の男子ゴルフでも突出したものではなくなった。飛距離という点で言えばおそらく、これまでの日本人の(トップレベルにある)ツアープロでは22歳の河本力が群を抜いている。2022年はそれも証明された一年だった。
プロ1年目の今季、河本のドライビングディスタンスはここまで318.36ヤード。2位の清水大成(23歳)に15ヤード以上の差を付けている。2019年にチャン・キムがマークした315.83ヤードを上回り、歴代最長となることが確実視されるが、「毎試合、320ヤードは切りたくない」と言うから満足いく数字ではないのだろう。
8月のSansan KBCオーガスタでの初勝利を含む今季2勝。いずれもその翌週は予選落ちという、アップダウンの激しさも周りからすれば“見どころ”のひとつでもある。ティイングエリアで見た人がみな一様に、感嘆の声を漏らす破壊的なドライバーショットを堪能するには生観戦してこそである。