青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
マスターズ敗退と青春の終わり――。
石川遼はこれからどこへ向かうのか。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byREUTERS/AFLO
posted2012/04/10 10:30
2日目、石川は出だしの1番で林に打ち込み、トリプルボギーをたたくなど、5オーバー。初日の73位から77位に順位を下げ、予選落ちに終わった。
石川遼の20歳のマスターズが終わった。
『二十歳、アメリカに行って世界一大きいトーナメント、マスターズ優勝』と小学校の卒業文集に綴った夢。極めて個人的なものであったはずの少年の思いは、彼が石川遼として成長していくにつれて世間の共有する物語となった。
「みんなが知っているということに違和感はありますけど、6年生の時に自分がそれを書いたことに対して全く後悔はしてないです。別に誰が何を言おうと、そんなの不可能でしょと言われても、逆に遼くんならできると言われても全然気にしていない。完全に僕個人の問題だと思うし、僕はただ6年生の時の自分をずっと信じてるだけですから」
12歳の頃と同じ無邪気さで夢を追い続けていたとは思わない。
マスターズ出場はすでに4回目。グリーンジャケットまでの道のりの険しさは過去3回のオーガスタで身をもって味わってきたはずだからだ。
そして現実は、おそらく石川が予想していたよりも、もっと厳しかった。
「やり残したことはない。やれることは全部やった」と準備万端で臨んだはずの夢舞台は初日76、2日目はさらに悪く77、通算9オーバーでなすすべなく大会から姿を消した。
積み重ねてきた経験や戦前の期待値を踏まえれば、これまででもっとも惨敗の感が強い予選落ちだった。
ドライバーショットの致命的なミス、アイアンの距離感がバラバラ……。
「去年打てなかったショットを打てたり、成長も実感している」と石川が言うのは、たとえば初日の13番パー5の2打目だろう。
坂道のようなつま先上がりのフェアウエーからスライスをかけて、一歩間違えばクリークにつかまるピンを狙っていく。難易度の高いこのショットは見事に4mのイーグルチャンスについた。だが、このパットが入らない。
どんなにいいプレーでも単発で終わってしまえばスコアには結びつかないし、それ以前の問題としてドライバーショットの致命的なミスがあり、アイアンの距離感もまるでバラバラだった。