サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「落選した選手の分まで、というつもりはない」あの26人メンバー発表のあと…柴崎岳30歳が語っていた本音「ドイツ戦は勝ちに行く」
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAFLO
posted2022/11/20 17:15
今季スペイン2部・レガネスで主力としてプレーする柴崎岳(30歳)。スペインに渡って6年弱、その柴崎がメンバー発表のあとに明かした本音とは?
「そういう選手もそうだし、日本でプロとしてやってるJリーガーを含めた、全員の代表が日本代表というところ。だから選ばれた選手には責任もある。自信をもって、自分のプレーや選手としての価値を出すのが、責任を果たすということ。落選した選手の分までというつもりはない。外れた選手の気持ちというのはその人にしか感じられないものがあるだろうし。外れた選手もいるということを理解した上で、自分にできるベストを尽くして過ごさないといけないなと思う」
ピッチの上ではどのようなプレーを見せたいと考えているのか。
先発か途中出場か、試合展開や起用されるポジションにもよるだろう。監督の指示も多岐にわたるかもしれない。しかしその頭脳に、やるべきことは明確に描かれている。
「やっぱり自分のストロングポイントであるパスでしっかりとチャンスメイクすること。得点がほしいときに流れを変えたり、攻撃面でチャンスを作ることをやっていきたい」
ここ数年だろうか、柴崎は中盤で何を任されてもこなすような万能ミッドフィルダーの方向へ傾倒している印象があった。
スペイン2部という環境がそうさせたこともあるだろう。スペインというとパスサッカーの印象が強いが、2部はパス能力だけでは生きてはいけない過酷な世界だ。
丁寧に繋ぎ崩していくスタイルはむしろ稀で、中盤の選手には自陣エリアまで広くカバーする運動量や献身性が求められる。守備時のポジション取りや味方のカバーなど、幅広い役割を着実にこなした。スペインでの6年弱、どの監督も柴崎の高い貢献度を評価している。しかし一方で、元来の強みである局面を変えるパスや創造性が出しにくい環境でもあった。
「ドイツ戦は勝ちに行く」
カタールへ向かう柴崎の口から出たパスという言葉に、秘めた決意を感じた。
「自分の特徴をしっかり把握する。シチュエーションをイメージして、スタートからでも途中からでも、自分にできることを出せたら。ストロングポイントを理解して、チームにどう還元していくかを考えたい」
4年前、柴崎のパスはワールドカップのピッチを彩った。
ベルギー戦で原口元気へ通したスルーパスの鮮やかさは記憶に新しい。長短のパスを繰り出し、チームの中心で日本代表を操った。
今大会、ドイツやスペインを前に日本がボールを保持して攻めこむ時間は限られるだろう。自陣で耐える時間が主となるのであれば、必然的にカウンターの機会もでてくる。
確実にやってくる好機をいかに演出するのか。遠く敵陣まで見渡せる広い視野とパスの精度がいきるとすれば、守から攻へと切り替わるその瞬間だろう。
強国を前にしても、柴崎は勝利の可能性すら信じている。