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「自分でもクレイジーだと思う」マリニンの演技に見た“恐ろしく、素晴らしい時代”…同世代・三浦佳生「やばいという感情じゃなくて、すごいな」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2022/10/28 17:00
4アクセルを含む圧巻の演技でスケートアメリカを制した17歳イリヤ・マリニン
三浦佳生「いい時代に生まれてきた」
この大会でSP1位、総合2位と健闘した三浦佳生は、マリニンと同じ17歳。彼らはこの先何年も、激しく競い合っていくことになるだろう。
その三浦は最終滑走だったが、自分の順番が来る前にリンク際からライバルの4アクセルを見ていたという。
「あれだけ軽々しく4回転を跳ばれると……スケート界が絶望させられるような演技だったと思うんですけど」。そう言いながらも、三浦は圧倒されているようには見えなかった。
「それくらい同世代に素晴らしい選手がいるということ、同じ世代で戦えるということを誇りに思って、いい時代に生まれてきたと思います」
マリニンに次いで総合2位という順位が決定した直後、三浦はそう感想をもらした。
隣のマリニンは嬉しそうに三浦に微笑みかけた
その彼に記者会見で改めて、マリニンの演技を見た後でどうやって自分らしい演技ができたのかと聞いてみた。
「自分の演技前に4回転アクセル……めちゃめちゃきれいな4アクセルを跳んでいるのを見て、最初は『やべえ』と思ったんですけど……でも最近は4アクセルか、みたいな感じで。やばいという感情じゃなくて、すごいな、少しでも早く近づけたらいいなというふうに見ていたので、自分の演技には支障なかったです。本当に素晴らしい演技でした」と締めくくった。
リモートで通訳が彼の答えを英語に訳し終えると、隣に座っていたマリニンは嬉しそうに三浦に微笑みかけた。
北京オリンピックが終わってまだ8か月。早くも次の世代の素晴らしいストーリーが始まっている。楽しみな4年間になりそうだ。
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