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「自分でもクレイジーだと思う」マリニンの演技に見た“恐ろしく、素晴らしい時代”…同世代・三浦佳生「やばいという感情じゃなくて、すごいな」 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2022/10/28 17:00

「自分でもクレイジーだと思う」マリニンの演技に見た“恐ろしく、素晴らしい時代”…同世代・三浦佳生「やばいという感情じゃなくて、すごいな」<Number Web> photograph by Getty Images

4アクセルを含む圧巻の演技でスケートアメリカを制した17歳イリヤ・マリニン

「大勢の観客の前で滑れることがとてもエキサイティングで、たくさん声援が聞こえて、お客さんに向けて演技をしようと思っていたけれど、今日はあまり良い演技ではなかったです」

 演技後、ミックスゾーンでそう語った。

「ミスはあったけれど、会場中から応援してもらって楽しみました。スコアは自分の演技の内容を考えると納得、良かったと思います。これも経験ですから」

「まるで3回転のような4回転」

 翌日のフリーで、マリニンは「クワッドゴッド」の本領を発揮した。振付はシェイリーン・ボーン、音楽はアメリカのテレビドラマのサントラ「Euphoria」でブルーを基調に袖に赤をあしらった衣装で登場した。

 冒頭の4アクセルがきれいに決まると、会場の壁が揺れるほどの歓声と拍手が巻き起こった。9月のUSクラシック・インターナショナルはレイクプラシッドという交通の便の悪い土地で行われたこともあり、観客は200人足らずだった。だが今回の2500人ほど入る会場スケーティングクラブ・オブ・ボストンはソールドアウトで大勢の観客が埋め尽くしていた。その観客が、次の4トウループに差し掛かる直前まで、拍手を送り続けた。

 4トウループ、4ルッツ、4サルコウと続けざまに降りて行った。まるで3回転を跳んでいるかのように、いとも簡単そうに着氷していく。

 だが中盤の4ルッツの着氷が乱れて、1オイラーの後につけた3サルコウで転倒。これが唯一のミスらしいミスだった。最後の3ルッツ+3アクセルのシークエンスを降りると、大歓声の中でコレオシークエンスをダイナミックに滑り切った。

 驚いたのは、これほどのジャンプを跳んだのに最後までスピードが落ちなかったことだ。呼吸こそ激しくなっているものの、限界まで体力を使い切ったという印象では全くなかった。このマリニンなら、そのうち4回転を7本成功させることもやってのけるかもしれない。恐ろしい時代がやってきた。

【次ページ】 三浦佳生「いい時代に生まれてきた」

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