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金農サヨナラスクイズから4年…元“近江の左エース”林優樹が「プロ野球選手になりたい」と誓った瞬間〈転機は朗希、奥川と出場したW杯〉 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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posted2022/10/22 17:02

金農サヨナラスクイズから4年…元“近江の左エース”林優樹が「プロ野球選手になりたい」と誓った瞬間〈転機は朗希、奥川と出場したW杯〉<Number Web> photograph by Fumi Sawai

18年夏の甲子園でサヨナラスクイズに立ち尽くした姿が印象深い林優樹(近江→西濃運輸)。肉体も球速もパワーアップした今、同期たちが待つプロの舞台に進む

 ただ、実戦から離れることに不安はなかったわけではない。

「今思うと(19年9月U-18W杯の)韓国戦以来、1年4カ月ほどボールすら触っていなかったんです。去年の1月に打撃投手をしたのが社会人野球の初実戦でした」

 しかし、入社時は60キロだった体重が70キロまで増えたことで以前のように球を離しても球に力がこもっていることを実感した。

「打者相手に投げると、思った以上に自分の球に打者が刺されているのを感じました。その後、紅白戦で2イニングを投げたんですけれど、142キロ出ていたんです。高校時代は2年秋に136キロ出たことがあったんですけれど、それは球場のスピードガンの誤作動。高校3年の夏の甲子園では129キロが最速だったので、スピードは10キロ以上、上がっていました」

 春以降は大学生とのオープン戦でも登板し、近大戦ではU18のチームメイトだった坂下翔馬(智弁学園出身)から3球三振を取った場面もあった。昨年3月の東海地区春季大会のヤマハ戦では中継ぎで2イニング投げ、1失点はしたが強力打線を相手に自分の球は決して押し負けていないことを感じた。チェンジアップは使わず、ストレートとカーブのコンビネーションで勝負する中、1球1球に魂を込めた。

昨年の夏もヒジが悲鳴を…「鼻をへし折られた」

「ストレートでファウルが取れたし、打者に差し込めるようになってきたと感じました。夏場に体調を崩して体重が落ちた時期もあったんですけれど、社会人野球の世界に進んで初めて、上のレベルにやっと立てたと思いました。自分としてはそこがひとつの目標でした。ただ、これだけ体が大きくなって、来年、さらに成長できていなかったらどうしようという不安もありました」

 打者の目が慣れ、気温が上がってバットが振れるようになってきた夏は「鼻をへし折られた」と林は回顧する。

 都市対抗予選のジェイプロジェクトとの延長18回まで繰り広げられた熱戦で、終盤に急きょ登板した林はヒジの痛みを訴えた。体が大きくなったことで一気に出力が上がったため、ヒジが悲鳴を上げたのだ。

「体は“社会人野球仕様”でもヒジは高校時代のままだったようです。こうなったらヒジも社会人野球仕様にしないといけない、と、秋からまたリハビリすることになりました」

 東京ドームでは投げることはなく、ヒジのスタミナ強化のため再び表舞台から降りた。

【次ページ】 同級生は日本シリーズで活躍している

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