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「僕に危機感を持たせてくれた」今季71試合登板、DeNAの“鉄腕”伊勢大夢が感謝する後輩とは?「セーブは僕のなかでは格別なモノ」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2022/10/07 11:01
今季両リーグトップとなる71試合に登板し、ホールドポイント数「42」と球団新記録を更新した伊勢。CSでも活躍に期待がかかる“鉄腕”に話を聞いた
「ヤスさんもヒーローインタビューで『ブルペンとしても一日でも早く三嶋さんが復帰できるように一生懸命頑張っていきたい』と言っていましたが、僕もそういった気持ちでマウンドに上がろうって想いが強くなったんです。連絡ですか? はい、とっていますよ。手術後に『リハビリがんばってください!』とLINEを送ったら『残りシーズンもがんばれよ!』って。あと、この間の巨人戦(9月22日)でノーアウト満塁を抑えたときも『ナイスピッチ!』と連絡をくださいました。気には掛けてもらっているようですね」
そういうと伊勢は嬉しそうに笑った。今はただ、三嶋を信じて帰還を待つだけだ。
「チームにとって絶対に必要なピッチャー。いるだけでもブルペンやチームの雰囲気を変えてくれる方ですし、三嶋さんにはぜひ強くなって帰ってきてもらいたいです」
去年コーチから言われた「完全に実力不足だな」
タフネスぶりをいかんなく発揮した今季の伊勢であるが、長いシーズンのなかでハイライトとなったのが7月9日の巨人戦(東京ドーム)でプロ入り初セーブを挙げたことだろう。1点リードの8回裏、2死一、二塁のピンチで伊勢はマウンドに上がった。ポランコを一塁ゴロに封じピンチを脱すると、回をまたぎ9回も伊勢はマウンドへ向かった。1安打を浴びるも、2三振で試合を収め、念願の初セーブを記録した。昨季、何回かチャンスをもらったものの救援失敗に終わっていただけに、感慨もひとしおだった。
「去年失敗したとき、木塚コーチから『完全に実力不足だな』と厳しい言葉をいただき、正直僕自身納得するところがありました。けど、もう同じことは繰り返したくない。あの日はヤスさんが上がり(ベンチ外)で、試合前から木塚コーチに『頼むぞ』と言われていました。チャンスをいただけていると思いましたし、その気持ちを携えマウンドに上がることができたんです。セーブというのは僕のなかでは格別なモノですし、苦労した分、大きな一歩だったなって」
しっかりと受け継いでいくのも後輩の務め
伊勢はDeNAに入団したときから「いつかはクローザーに」と公言してきたが、そこへ近づくために日々、自分を高めてきた。抑えになるためには果たしてどうしたらいいのか、最高の教材は身近にいた。昨年までクローザーを務めた三嶋、そして今年は山﨑といった先輩たちの大きな背中を見て伊勢は学んでいる。