「この1～2年の経験ですよね。とくに昨年はシーズン中盤に肘の張りなどが出たので、事前に治療に力を入れるなど、自分でしっかり状況を察知して、トレーナーさんと相談し準備できたのが大きかったと思います。正直70試合投げてきて、万全な状態でゲームに挑めることは決して多くはなかったのですが、その中でベストを尽くせるようになったことが大きかった。そして、自分のなかで冷静に『これは難しい』と感じたら、早めにコーチに相談して配慮してもらいました。その結果、この数字を残せたと思うんです」

　自分自身を俯瞰し、齋藤隆チーフ投手コーチや木塚敦志投手コーチ、相川亮二バッテリーコーチと密に連携し、ハードな日程を乗り越えてきた。事実、伊勢がシーズンを通し3日間連続してマウンドに立ったのは、9月に一度あったのみだ。

春季キャンプでしっかり投げ込みができたらからこそ

「普段から球数を少なくするように意識し、3連投行ける準備はしていました。8月ぐらいに自分から『行けます』と言ったのですが、コーチからは『今じゃない』と。先を見据えて起用していただいたので、十分リカバリーすることできました」

　それでも伊勢いわく「夏場はハードでしたし、疲労のピークが何度も来た」という。オールスターゲームにも選出され、加えて暑さには強い方ではなかった。詳しくは語ろうとしなかったが細かい故障もあった。この苦しい時期を乗り切れたのは「春季キャンプでしっかり投げ込みができたからです」と伊勢は確信を込めて言う。

春季キャンプでの投げ込み　©JIJI PRESS

「あれは本当にきつい経験でした。疲れがあるなかでも自分の体と向き合い、ベース板の上でしっかりコントロールできたり、カウントを取ることができたのは、やっぱりあのおかげだと思いますね」

伊勢を“追い込んだ”明治大学の後輩の存在

　暑い盛りの8月には10試合連続無失点を記録するなど気を吐いた。打ち込まれる場面も少なからずあったが、それでも首脳陣の信頼を得るピッチングを披露し、9月に入ると上手く脱力することを覚えピッチングに磨きがかかり、投手として成長も遂げることができた。

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