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外れクジを当たりと勘違い…ヤクルト・真中満“フライングガッツポーズ”の伏線となった1年前の後悔「今年は絶対に先に見てやろう」

posted2022/10/20 06:01

 
外れクジを当たりと勘違い…ヤクルト・真中満“フライングガッツポーズ”の伏線となった1年前の後悔「今年は絶対に先に見てやろう」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

阪神と競合した高山俊を引き当て、ガッツポーズを見せる真中満監督。しかし、手にしていたのはハズレくじだった。本人によって明かされる勘違いを引き起こした伏線とは…?

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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 競合を制して意中の選手を引き当てた強運の持ち主。くじ運に見放されて天を仰いだ指揮官。そして、まさかのハプニングで会場をザワつかせた当人……。その手で封筒を掴み、悲喜こもごものドラマを生んだ4人の元監督が、プロ野球ドラフト会議の裏側を語る。第2回は真中満(ヤクルト元監督)/#1渡辺久信#3東尾修#4岡田彰布の全4回(初出は2018年10月11日発売Number 963号『<運命の日の明暗> 監督、クジを引く」』、肩書は全て当時のまま)

ぼくのその日の運勢は最高だった

 誰にでも勘違いはある。だが、ここまで堂々と、かつ大っぴらに勘違いした姿を披露した人はなかなかいない。

 2015年10月22日のドラフト会議。主役の座をさらったのは、ヤクルトの監督だった真中満である。

 狙うは明治大学の外野手、高山俊。東京六大学野球の通算最多安打記録を48年ぶりに塗り替えた22歳は、抽選になるか、単独指名か、微妙なラインの上にいた。

 当日、真中の気合いの入れようは半端ではなかった。3年前の記憶は鮮明だ。

「午前中に(明治)神宮にお参りに行ったし、いろんなものを調べてもぼくのその日の運勢は最高だった。クジは絶対に自分が引き当てる。そもそも抽選にもならないんじゃないか。高山くんを獲れるのは当たり前だという気持ちで会場に入ったんです」

引き当てるのはおれだと決まっているのに…

 阪神が高山を1位指名してきたのは予想外だったが、真中は動じない。抽選箱の前で並び立つ金本知憲に憐憫の情さえ湧いた。

「引き当てるのはおれだと決まっているのに、かわいそうだなと。先に引いたのは金本監督でしたけど、最初に取ったのを置いて、違う封筒を選んだんです。やっぱりそこで手放しちゃうんだなあ、なんて思いながら見ていました」

 強く念じた未来図と現実の境界線はもはや曖昧だった。二つ折りの抽選券を開く。NPBのロゴマークが見えた瞬間に真中は両手を高く掲げた。

【次ページ】 金本は中身をしっかりと確認することもなく席に

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