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他サポが名物を“密輸”することも…「カシマサッカースタジアムの食べ物がうますぎる」のはナゼ? アントラーズの担当者を直撃 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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photograph byMasashi Hara

posted2022/09/30 11:02

他サポが名物を“密輸”することも…「カシマサッカースタジアムの食べ物がうますぎる」のはナゼ? アントラーズの担当者を直撃<Number Web> photograph by Masashi Hara

鹿島アントラーズの本拠地・カシマサッカースタジアムのコンコースの様子。「JリーグNo.1」とも評される同地のスタグルの秘密に迫った

「焼きハマグリ」はNG? スタグルならではの配慮

 ここでも、指定管理者としてリアルタイムで直接やりとりができる強みがある。

 萩原さんは「ある売店さんから焼きハマグリを売りたい、と言われたことがあるんです」と、少し変わったエピソードを語ってくれた。もちろん、新メニューはお店の工夫の賜物であり大歓迎だ。加熱調理したメニューでもあり、なによりハマグリは地元・鹿島灘の特産品。観客にとっても、非常に魅力的な商品に思える。しかし、思わぬ落とし穴があった。

「こっちのハマグリって大きいんですよ(大人の握りこぶしよりも大きいことで有名)。もし殻を投げたら、凶器になってしまうのかな? と思いまして」

 両チームのサポーターが熱くなりやすいサッカーという競技を行う中で、安全で安心なスタジアムを作る、というのはそれだけ慎重さが求められるものなのだ。

他サポも“密輸”する名物・もつ煮の誕生

 そんなカシマサッカースタジアムで、最初に名物として人気に火がついたメニューはもつ煮だった。

「もつ自体の名産地というわけではないんです。ただ、鹿嶋という土地は海に近くて寒い日が多い。なにか温まれるメニューはないか、と色々出した中で当たったのがもつ煮でした」

 カシマのもつ煮が安くて多くて美味しい、という噂は他クラブのサポーターにも広まり、セキュリティ上の理由でコンコースを通り抜けることができないアウェイゴール裏のサポーターが、アントラーズサポーターに買ってきてもらう“密輸”も生まれた。Twitterが普及した時期とも重なり、美味しい食べ物を求めて敵味方が協力するその微笑ましい光景は、「カシマに行く=もつ煮を食べる」というイメージをさらに広めることになった。

 人気の売店のひとつ・鹿島食肉事業協同組合から始まった「もつ煮ブーム」は凄まじく、今やほとんどの売店でもつ煮が買えるようになった。

 ただし、今のカシマはもつ煮だけではない。もつ煮ブームによって、「スタジアムで名物を食べることを楽しむ」という土壌ができたことで、より売店側も力を入れ、相乗効果的にグルメが充実していくことになった。

【次ページ】 「ご飯も美味しかったね」と満足できるスタジアムに

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