フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
「完治したら、早い自信あります」紀平梨花20歳、五輪断念からわずか4日間のジャンプ練習で全日本の切符を獲得! 再び世界への展望も明かす
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAFLO
posted2022/09/27 11:20
525日ぶりの公式戦・中部選手権で6位となり全日本選手権の切符を手にした紀平梨花。世界選手権への展望も明かした
ほぼ4カ月、氷に乗らずに足首を休めると、8月のMRI画像では、骨折の白い線が昨年の5分の1くらいに小さくなっていた。9月から氷上練習を再開。9月中旬に2回転ジャンプを始め、試合5日前の9月19日にやっと3回転サルコウを跳んだ。22日に3回転トウループとループを跳ぶと、練習後に痛みを感じ、試合前日となる23日はジャンプ練習を休んだ。つまり3回転を練習したのは、わずか4日間のみ。3回転トウループに至っては、たった1日しか練習していない。しかし、徹底したスケーティングと陸トレが、紀平の自信を支えていた。
「普通に滑るぶんには痛くないし、ここまで頑張ってやってきたんだから、なんとか乗り切ろう」
525日ぶりの公式戦。不安要素のある中で…
525日ぶりの公式戦となる9月24日のショート。6分間練習でも痛みを感じたが「もう出るんだったら跳ぶしかない。集中して」と自分に言い聞かせた。冒頭でダブルアクセルを決めると、3回転サルコウからの連続ジャンプを着氷。また「2回転ループ」と申請していた3本目のジャンプも、3回転トウループを跳んだ。
「3回転を始めたばかりの割には良くできました。2回転ジャンプは(ルール上)0点になってしまうので、挑戦しようと思って、負担が割と少ない3回転トウループにしました。今は、試合に帰ってこられた嬉しさよりは、不安要素のある中での試合。足のことを気にせず滑れるときに、本当の嬉しさが出てくると思います」
ショートの得点は、56.69点で6位発進だった。
「ジャンプ構成からの点数を計算していなかったので、見慣れない数字にがっくりしました。でも目的は全日本選手権に向けて、通過することなので、なんとか2日間だけ乗り切りたいです」
フリーに向けては、足への負担を減らすため3回転を1種類のみに抑えた。本番では、ダブルアクセルの2本目でタイミングが合わずに1回転半に。すると「ダブルアクセルは、もう1本行けると思った」と負けん気を見せて、アドリブでもう一度跳んだ。ところが再び1回転半に。フリーは97.80点、総合154.49点となり、総合6位で中部ブロックの通過が決まった。