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「え、こんなに…」高校2年生・馬場咲希がとまどった“チャンピオンのオシゴト”とは? ゴルフ界37年ぶり快挙の初々しいウラ話 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2022/09/15 11:03

「え、こんなに…」高校2年生・馬場咲希がとまどった“チャンピオンのオシゴト”とは? ゴルフ界37年ぶり快挙の初々しいウラ話<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

全米女子アマを制した馬場咲希(17歳)。16日から始まる「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」に出場する

 最高の瞬間は、不意にやってきた。準決勝を突破した直後、「優勝して全米女子オープンにもう一度行きたい」と意気込んでいると、大会スタッフは“きょとん”。

「もう行けるよ」

 優勝者“だけ”が夢の舞台に行ける、というのは馬場の勘違い。出場資格は決勝進出者の2人に付与される。優勝者はプロ転向しても出場が可能、準優勝者はアマのままでいるのが条件だが、高校2年生にはまだプロになる意思はなかった。「やったー!」。シアトル近郊タコマの空の下、175cmの馬場と180cmの父・哲也さんとのハイタッチは、高かった。

 翌日、17歳は最後まで他を寄せ付けずに世界一になった。1ホールごとの勝敗を積み上げるマッチプレー。本来の18ホールは決勝戦だけ36ホールに設定される。タフな長丁場……のはずが、9ホールを残して27ホールで決着をつける圧倒ぶり(11&9)。

 その2週後にはナショナルチームで日の丸を背負い、フランスでの世界女子アマチュアチーム選手権に参加。3人の日本代表選手のうちの1人となって団体戦は3位、個人で4位の成績を収めた。

迷いのない繊細なパッティング

 270ヤード級のドライバーショットが注目されるが、それだけで世界を相手に戦えるほど甘くはない。むしろ全米女子アマでは疲労も蓄積し、相手にオーバードライブされるシーンもあった。だからこそ余計にアイアンショットや、ウェッジワークのうまさといった、オールラウンドぶりが際立った。

 特に、迷いのない、それでいてタッチが繊細なパッティングは、ただひたすらに一つの目標に突き進む、溌溂とした潔さが垣間見えた。

 海外での輝かしい実績をひっさげて、馬場は今週愛知県での住友生命Vitalityレディス 東海クラシックに出場する。さらには9月29日から開幕する日本女子オープンにも特別承認で出場することも決まった。

 依然としてアマチュアの身分でスポット参戦が続くが、日本ツアーの新しい華になることは疑いようがない。

 ただどれだけ喧騒にまみれようとも、大小を問わず、足元にある目標が自分を強くさせてくれる。無我夢中でいるときの推進力の強さはもうしっかり証明した。

「夢は海外メジャーで優勝すること。全米女子オープンを勝ちたいです」

 その頃にはきっと、サインも手慣れたものになっている。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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