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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「勝てるまでやめない。たとえ90歳になっても」スターダムの“未勝利レスラー”月山和香が語る宿敵・桜井まいへの複雑な思い《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/09/09 17:03
初勝利が遠い月山和香だが、プロレスにかける情熱は本物だ。インタビュー後編では、“元戦友のライバル”桜井まいへの複雑な思いに迫った
「フューチャーのベルトを取りたいんです」
月山と前後してスターダムに加入した他の選手や、若手中心の興行『NEW BLOOD』で絡んだレスラーについては、どう思っているのだろうか。
「MIRAIとテクラに関しては、試合を見て『なんだこいつら』って。もう、めっちゃフィジカル強いから(笑)。『NEW BLOOD』でタッグを組んだ花園桃花ちゃんとは、ずっとタッグを組みたいですね。彼女はラグビーやっていたから動けるんだけど、シャボン玉飛ばして『小さい子が見ても楽しめるような試合がしたい』って言っていて、共感しました」
また『NEW BLOOD』では、白塗りでおなじみの“元史上最年少レスラー”ラム会長とも対戦した。
「ラム会長? 負けた私が言うのもなんですけど、小っちゃいのによく頑張ってますよね。ただ、あの粉(エクトプラズム)は本気でやめてほしいです(笑)。髪の毛が真っ白になって、会見の帰り道の満員電車で白い目で見られたんですよ! 2回目の時なんて、ホテルでシャンプーしても落ちないんですから(笑)」
予期せぬハプニングを笑い飛ばす一方で、月山はコズミック・エンジェルズを抜けた桜井まいに対してだけは、敵意をむき出しにしている。しかし桜井がファンクラブの選手ブログで脱退当時の心境を書いていたのを見て、図らずも「グッときちゃった」という。それまでは「裏切りやがって、許せない」と思っていたのに、理由を知った途端に感情移入してしまったそうだ。
きっと、月山は優しい性格なのだろう。しかしそれでは、元々あまりないという闘争心がさらになくなって、ますます勝利から遠ざかるのではないかと老婆心ながら心配になった。すると、月山はこんなことを言い始めた。
「桜井まいが弱っている状態で勝つんじゃなくて、やっぱり、正々堂々と戦って勝ちたい。勝たないと自分が次に行けないので。私はフューチャーのベルトを取りたいんです。でも、もし壮麗亜美が羽南からベルトを取ったらどうしよう?」
なぜか声を潜めて、月山はこう続けた。
「壮麗亜美、デカすぎません? 私がプロレスに引き込んじゃったんですけど、もし彼女がベルトを取ったら返上するようにファンレターを書きます(笑)。フューチャーはキャリア3年未満という期限があるから、どんな手を使っても取りますよ。桜井まいに関しては、期限があるわけではないですから。いずれ絶対に私が勝つので、それまでお互いに欠場しないで、たくさん試合しましょう」<前編から続く>
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