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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「勝てるまでやめない。たとえ90歳になっても」スターダムの“未勝利レスラー”月山和香が語る宿敵・桜井まいへの複雑な思い《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/09/09 17:03
初勝利が遠い月山和香だが、プロレスにかける情熱は本物だ。インタビュー後編では、“元戦友のライバル”桜井まいへの複雑な思いに迫った
「連敗は気にしない。いつか絶対に勝ちますから」
さらに月山は「負けた数ですか? 数えても仕方がないから、数えない」と語った。
「次の試合が決まっているのに、意味ないでしょう。試合の復習はしますが、そこからは先を見ますよ。前の団体からタッグを含めて200試合はしていないんじゃないかなぁ。体感では160くらい、シングルでは40くらいかな」
全日本女子プロレス時代のミミ萩原には87連敗という記録が残っている。体が細かったミミはいつも強引に押さえ込まれて悔しい表情を浮かべていた。ある日、その連敗に終止符を打ったミミは、その後ブレイクした。
全日本プロレス時代の川田利明も引き分けを挟んでいたが、なんと205連敗していた。「川田さんに比べたら月山の連敗なんか大したことない、とTwitterで応援されました」と月山は言う。
「私は連敗を気にしていないけれど、周りのみんなは気にしてくれている。でも、いつか絶対に勝ちますから。勝てなかったら引退しませんから、90歳になろうが。あっ、桜井まいとシングル30本やって私が勝ったらそこで終わり、っていうのはどうですか? 私は卑怯なので『諸事情により』勝ち逃げ。もし30本やって勝てなかったら、追加で50本の延長戦かな(笑)」
7番勝負とか10番勝負でなく、30番勝負というのが月山らしい。
でも、90歳なんてとんでもないことを月山が言うので、かつてニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで還暦をとうに過ぎてもファイトを続けていたファビュラス・ムーラおばあちゃんを思い出してしまった。
「桜井まいに勝ったら何がしたい?」月山の答えは…
7月9日、フューチャー・オブ・スターダム王座に挑んだ月山は、高校生レスラー・羽南のバックドロップホールドに敗れた。真っ逆さまだった。
「私、小さいんでリングに刺さっちゃったんです。頭から落ちた瞬間、ボキボキボキって音が聞こえました」
月山は欠場を強いられた。負傷箇所が首ゆえに治療が長引く可能性もあったが、幸運にも1カ月で復帰することができた。
「何年でもプロレスをやりたいし、勝ちたい。コズエンのみんなが応援してくれるから。『そんな理由?』って思うかもしれないですけれど、私にとっては本当に大切なものなんです」