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松山英樹に400億円オファー!? 破格のオイルマネーが話題のリブゴルフが“マツヤマ”に熱心なワケ〈PGAツアー残留、節目の10年目へ〉
posted2022/09/07 17:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
1年の節目だというのに、どうにもスッキリしない。
アトランタでのPGAツアー最終戦、8月末のツアー選手権はロリー・マキロイの優勝で幕を閉じた。最終日に首位との6打差をひっくり返す展開には、それこそスポーツは筋書きのないドラマだと言うには十分。
秋に始まり夏場に終わるPGAツアーの年間王者の称号(フェデックスカップ)は、男子プロゴルフの最高峰のタイトルのひとつ。マキロイの獲得は3年ぶり3回目だった。
だが、いつものように華々しいフィナーレにも、多くの人の胸には妙なざわめきがある。PGAツアーの、その最高峰という言葉が今、揺るぎかねない状況にあるからだ。
2022年、男子ゴルフの世界は新興勢力が話題を先行した。
LIVゴルフ(リブゴルフ)が、まさにそれだ。
リブゴルフが標榜する“新しいプロゴルフ”
サウジアラビア政府系ファンドが過半数の株を持つLIV(リブ)ゴルフ・インベストメントは新設のプロゴルフ団体で、PGAツアー、日本ツアーを含む世界のプロツアーと一線を画すもの。元世界ランキング1位、オーストラリアのグレッグ・ノーマンがCEOを務める。
数十年の歴史を持つ各国のツアーがこのプロスポーツをリードしてきた昨今、新団体は“新しいプロゴルフのカタチ”を標榜し、これまでの常識を覆すトーナメントを発案した。
これまでのツアー競技は通常、1試合に100人以上が出場する4日間72ホールの個人戦で、多くで36ホール終了時に予選カットを設けている。LIVゴルフの出場人数はグッと少ない48人。全員が3日間54ホールをプレーし、同じ48人が12チームに分かれて合計スコアを競う団体戦を、個人戦と同時進行させるフォーマットを提案した。
18ホールを回るゴルフは150人近くがプレーすると、第1組の開始から最終組の終了までに10時間以上かかる。それがLIVゴルフの試合は各組の開始ホールと終了ホールを分散させ、いっせいにティオフさせる。全員がほぼ同じ時刻に終了、5時間ほどでその日の競技全てが終わる、かねて「ショットガンスタート」と呼ばれていたものを採用した。
打数の少なさを競うゴルフの基本ルールはそのままに、“戦わせ方”を変える試み。またLIVゴルフは団体戦のおもしろさを追求する施策を講じている。12組にそれぞれチーム名をつけ、ロゴやグッズを作製。将来的にはファンの熱量が選手だけでなく、チームにも向くようなフランチャイズ化を目指す。ゴルフビジネスの新しいカタチの模索に積極的だ。
プロゴルフの在り方の多様化にはポジティブな面が多そうだが、一体何を揉めているのか。