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サバンナ高橋「藤井聡太竜王は“負の感情”がない方なんちゃうかな」「頂いた“飛翔”の色紙を…」“観る将芸人”が藤井将棋に魅了されたワケ
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byKYODO
posted2022/09/06 20:00
トークショーはYouTubeの「サバンナ高橋/しげおチャンネル」で視聴可
楽屋はパーテーション1枚で区切られていたんですが、藤井先生と師匠の杉本昌隆先生や先崎学先生だけ。たくさんの人に囲まれることなく穏やかにしゃべっていて、芸能界なら取り巻きがもっと多くなると思うんですが(笑)、そこが将棋界の面白くて、不思議な部分でもありますね。
お笑いと違って、将棋は実力だけの世界なのがすごいところやなと僕は思っています。
もちろんお笑い界も実力主義ですけど、見た目、声の高さ、相方との出会いなど、運の要素が関係してきますからね。ちなみに将棋を知らない人に、お笑い的なすごさでたとえるなら……藤井竜王は19歳で「M-1」と「R-1」と「キングオブコント」と「すべらない話」とかも含めて全部のタイトルを取ったようなレベルです。少しでもこのすごさが伝わってほしい……。
将棋とお笑いの共通点は「先を読む力」でしょうか
将棋を観ていて共通点というかお笑いの参考になるなと感じるのは「先を読む力」でしょうか。
自分が発言すると、相手がどういう気持ちになったりどう反応するか、どれぐらいの人が笑うんだろう、と瞬間的に判断することでしょうか。“AI超えの一手”風に言えば、プロの芸人は会話を1億と3手先まで読んでます(笑)。
藤井竜王の何が一番の魅力か――その将棋をリアルタイムで味わえていることこそ、一番の幸せだと思います。
羽生善治先生の七冠達成、渡辺明先生対羽生先生の2008年竜王戦とか、米長邦雄先生対ボンクラーズの電王戦など、将棋の歴史に残る大きな出来事はいろいろあって、アーカイブで楽しむことができます。ただ藤井先生は、現在進行形で伝説を観られるチャンスをくださっているんです。だからこそ、これからも「僕ら今、将棋界のすごい歴史を観てんねんぞ!」ということを伝えていきたい。