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[目撃者の証言]私が見た王者・藤井――高橋茂雄(サバンナ)「リアルタイムで伝説を味わう幸せ」

2022/01/21
トークショーはYouTubeの「サバンナ高橋/しげおチャンネル」で視聴可
その姿を追うカメラマン、番勝負の舞台の女将、地元東海棋界の重鎮、将棋中継の革命者、将棋沼にハマった芸人、女流棋士にして観戦記者。6人が間近で見て、感じて、魅了されたヒーローの横顔を明かしてくれた。

 将棋にハマったのは2020年、藤井聡太竜王が二冠を取られた頃でした。ワイドショーで「お、タイトル取りはったんや」と思いつつ、木村一基先生も最年長でタイトルを取られたことなどを知って、興味がわいたんです。そこからABEMAで対局が数多く配信されていたので観始めた、という感じです。対局中継がすごく手軽に観られて、AI評価値などが表示されることで、僕のようなファン歴が浅い人間でものめり込める。「観る将」の土台が整った、ちょうどいいタイミングやったのでは、と思います。

 その中で藤井竜王は、現在も今後も将棋界を引っ張っていかれるし、ただただ尊敬しかないのですが、なんと2021年、棋聖戦防衛祝賀会トークショーのゲストMCを僕がやることになったんです。藤井竜王と実際にお会いして一緒に話すというのは、もう身に余る光栄というか。芸人の中で藤井竜王と喋ったことがあるのは、たぶんタモリさんぐらいでしょうから(笑)。

 実際に質問して、藤井竜王に抱いた印象としては、「どんな質問してんねん」とか「はよ家帰りたいな」といった“負の感情”が全くない方なんちゃうかなと感じました。僕にもお客さんにも、サービス精神というか、しっかりと誠実に答えようとしてくださっている感じでした。なおかつ聞かれたことには屈託なく答えてくれるんですよね。10代にして落ち着きがありつつ、トークセンスがありますし、気張ってる感じもないのがすごい。

 印象深いのは「一番好きな食べ物、お寿司でいいですか?」と聞いた時のことです。別になんてことのない質問だから“長考”する必要はなくて、普通なら「はい、お寿司は大好きですね」とかの返答でいいと思うんです。でも藤井竜王は「そうですね……」と考えてから答えてくれる。僕も“ここは!”と思い「10秒〜」と秒読みしてしまいましたが(笑)、一つ一つの質問をしっかりと咀嚼してくれるところに、将棋界のトップにふさわしい人間性を持った方やな、と感じました。

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photograph by KYODO

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