熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
“エムバペと確執説”ネイマールが絶好調 「僕にとって最後」カタールW杯へ南野所属モナコ戦など6戦9発…ただ不安要素が3つ
posted2022/09/03 06:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Takuya Sugiyama
ブラジル代表FWネイマール(パリ・サンジェルマン=PSG)ほどシーズンオフに移籍の噂で世間を騒がせる選手は珍しい。
2017年夏、バルセロナとそのサポーターの強い慰留を振り切り、2億2200万ユーロ(当時のレートで約290億円)という史上最高額の移籍金でPSGへ移った(その理由は、金銭面、そしてアルゼンチン代表FWリオネル・メッシの陰に隠れ続けるのを嫌ったためとされる)。
ところが、PSGでチームメイトらと軋轢を起こして居心地が悪くなり、入団からわずか2年後、古巣バルセロナへの復帰を画策する。それでもPSGは「悲願の欧州CL制覇を達成するために絶対に必要な選手」と考え、頑として手放さなかった。
今夏、クラブ側が放出を考えていたワケ
今季の開幕前はこれまでとは違った。本人ではなくクラブの方が放出を考えたと報じられたのだ。
昨季、故障が頻発してチームの全50試合の実に44%を欠場。28試合に出場して13得点8アシストだった。並の選手なら悪い数字ではないだろうが、推定年俸4900万ユーロ(約68億円)のチーム一の高給取り(当時)としては物足りない。
「ネイマールの無責任な言動を嫌う(フランス代表FW)キリアン・エムバペからの要請もあり、PSGは放出を決断した」と伝えられた。しかし、本人は今年のワールドカップ(W杯)カタール大会に万全の状態で臨むことを優先し、移籍を望まなかった。また、大金を払ってでもネイマールを欲しがるクラブもなかったため結果的に残留した、と報じられた。
その一方で、一時はレアル・マドリー移籍が確実視されていたエムバペが契約を延長。その"ご褒美"として3億ユーロ(約420億円)の特別ボーナスとネイマールを凌ぐチーム最高年俸(推定1億ユーロ=約140億円)を与えられ、なおかつチーム編成に介入する権利を手にしたと報じられた。もしこれらが事実なら、ネイマールが不貞腐れてもおかしくなかった。
予想を裏切り、序盤は絶好調を維持している
ところが、大方の予想を裏切り、シーズン序盤は絶好調を維持している。
まず、7月31日に行なわれたスーパーカップ(前季のリーグ王者とフランス杯王者が対戦)のナント戦で、FKとPKを決めて2得点。8月6日のフランスリーグ開幕戦(対クレルモン)では、右足でミドルシュートを決めると、メッシらのゴールをお膳立てして1得点3アシスト。チームの5点中4点にからんだ。
13日の対モンペリエ戦では、PKと彼にしては珍しいダイビングヘッドで2得点。リールとの第3節(21日)では2得点3アシストの大活躍で、7-1とPSGが大勝する立役者となった。
そして、28日、モナコ戦では自らが獲得したPKを決めた。