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プロ入り3年目の大谷翔平…交流戦で戦った“セ・リーグ強打者たち”の声「メジャーリーガーになる人」「ダルビッシュに似ているところが…」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/09/04 06:01
プロ3年目の大谷翔平に対するセ・リーグ打者たちの評価とは?(写真は2016年日本シリーズ)
「バーランダーも100マイルを投げるけど、僕との対戦では投げてこなかった。だけどカーブとチェンジアップも一級品だったから、打席では自分が打てるボールが来るまでなんとか粘るしかなかった。大谷君に対しても同じアプローチです」
第1打席。フォークで三振を喫した福留は、大谷のフォークに落差が大きいものとスプリット系の2種類があると気づいた。
フォークを脳裏に焼き付け、「次も投げてくるだろう」と2打席目を迎えたが、6球目のスライダーにバットが空を切った。
「ダルビッシュに似ているところがある」
福留は「僕の負けです」と潔く敗北を認め、大谷の繊細な投球術に賛辞を贈る。
「1打席目は4球目のスライダーと6球目のフォーク、2打席目は5球目のフォークが甘かったんだけど、それをファウルにしてしまった時点でどうしようもなくなった。大谷君は自分をよく理解していて、ゲームのなかで修正する能力が高いと思う。今回の対戦で言えば『このボールの変化が甘い』と思ったらすぐに調節できたり。とても器用だと思う。ピッチングスタイルは違うけど、ダルビッシュに似ているところがあるんじゃないかな」
日本が誇る“絶対エース”を引き合いに大谷の能力の高さを説明した元メジャーリーガーの福留は、一方で若武者の将来を楽しみにしている。
「メジャーでもダルビッシュや田中くらいやれるだろうし、タイトルを獲るチャンスだって十分にある。ただし、ピッチングに専念すれば、ですけどね」
交流戦で大谷は、セ・リーグの強打者たちをねじ伏せ、改めてその進化を示した。
来年こそは――。敗れた打者たちはリベンジに燃え、対策を練り挑んでくるだろう。だがきっと来年の大谷も、彼らが思い描く投手像を簡単に凌駕するはずだ。