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「先輩が助けてくれた」「すごく楽しくて」ワタガシ渡辺勇大&東野有紗が歩んだ“五輪後も息ぴったり”の日々…世界選手権準優勝でも涙の理由
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2022/08/30 17:01
昨年の東京五輪では銅メダルを獲得し、今回のバドミントン世界選手権では銀メダルとなった渡辺勇大/東野有紗ペア
混合ダブルスでは“女子を狙う”のがセオリー
東京五輪で銅メダルを獲得してから今日まで、課題の1つはレシーブだった。東京五輪で金メダルを獲得した中国のペアとの準決勝では、混合ダブルスでは女子を狙うというセオリー通り、東野が狙われる場面が多く、守勢に回った。その反省もあって、男子のスマッシュをどう返すか、浮かずに低いショットを返せるかを課題としていた。
ただ、今大会の試合を通して見れば、東野の問題というよりもペアとしての地力の違いだったろう。渡辺は言う。
「点の獲り方やパワー、スピード、リズム。いろいろなポイントで優位に立たせてしまいました」
結果、金メダルには届かなかったが、失意に沈むばかりではない。
「次は金メダルを届けられるように頑張りたいです」(東野)
「勇大君のロブがよくて」「先輩が助けてくれた」
混合ダブルスでは日本初のメダルとはいえ、東京五輪の銅メダルは悔しかった。世界一を目指すのがアスリートとして当たり前と思い、取り組んできた。東京五輪後の世界選手権では銀メダル、今年3月の全英オープンは連覇、世界ランキングは3位と、たしかな地歩を築けたのは、揺るぎない目標に向かった努力の結果にほかならない。中でも全英オープン決勝では、東京五輪で敗れた王/黄を破っての優勝だったことも特筆される。
その全英オープン後には、こうコメントしている。
「勇大君のロブがよくて、スマッシュをとりやすい配球をしてくれました」(東野)
「乗り切れない場面で先輩が助けてくれました」(渡辺)