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『すぽると!』元キャスター本田朋子に聞いた”男社会”での線引き「球場で“見ています”とアピールはしますが、選手には近づきすぎないように心がけていた」

posted2022/08/31 11:03

 
『すぽると!』元キャスター本田朋子に聞いた”男社会”での線引き「球場で“見ています”とアピールはしますが、選手には近づきすぎないように心がけていた」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

約10年にわたって『すぽると』キャスターを務めたフリーアナウンサーの本田朋子さんに当時の話を聞くと…

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小泉なつみ

小泉なつみNatsumi Koizumi

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Kiichi Matsumoto

 2016年まで15年間にわたって放送されたフジテレビの人気スポーツ番組『すぽると!』。そのうち10年近く番組の顔であるキャスターを務めたのがフリーアナウンサーの本田朋子さんだ。
 今回、新人女子アナとしてスポーツの現場に飛び込んだ頃の思い出や人知れず抱いていた葛藤を聞いた。(全3回の1回目/#2#3を読む)

――本田さんといえば、足かけ11年キャスターをつとめたスポーツ番組『すぽると!』のイメージが強いです。はじめは学生キャスターだったそうですね。

本田朋子さん(以降、本田) 当時事務所に所属していて、大学1年生の時に『すぽると!』のキャスターオーディションに受かったのがきっかけでした。ただ私自身はオーディションの中身もよくわかっていなくて、プロデューサーの方との世間話のような面接をした数日後、「『すぽると!』のキャスターに決まりました」とご報告を受けて。そこではじめて「どうしよう、大変なことになった」と思ったくらいでした。

――抜擢の理由はなんだったと思いますか。

本田 愛媛から上京したばかりで、都会に染まっていないところが良かったのでしょうか(笑)。本当に普通の大学生で、特別スポーツに詳しかったわけでもなく、もちろんキャスターとしてのキャリアもありませんでした。

――本当にいきなり、フジテレビの人気番組でデビューすることになったんですね。

本田 初出演のときは鼓動の音が聞こえてしまうのではないかというほどドキドキして、自分の名前すら噛みました。愛媛の両親も緊張で椅子に座って見ていられなかったそうで、テレビの前で正座して応援してくれていたそうです。

選手から言葉を引き出すための地道な努力

――男性の多いスポーツ・テレビの現場に、女性キャスターとして入っていくプレッシャーもあったのではないでしょうか。

本田 選手だけでなく、制作スタッフの8割が男性でした。まさに「男性社会」ですよね。だからといって、スタジオや取材現場は男女関係のない世界。その競技・選手をきちんと知らなければ、浅いインタビューしかとれません。野球の場合、シーズン中は月曜以外連日試合がありますが、インタビューしたい時だけ球場に行っても、選手との信頼関係は築けません。

【次ページ】 取材対象者には「近づきすぎない」

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