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17歳馬場咲希の素顔とは? 中1から指導するコーチの言葉で振り返る、37年ぶり快挙の舞台裏「いつもおしゃべりばかりしていて…」
posted2022/08/20 11:03
text by
田中宏治Koji Tanaka
photograph by
USGA/Darren Carroll
「ゴルフに必殺技はないよ」
日本人選手2人目、37年ぶりの「全米女子アマ」優勝という快挙を果たした馬場咲希(17歳)を中学1年から指導する坂詰和久コーチが繰り返し、伝えてきた言葉だ。
1年前、いや半年前には無名だった少女はいかにこの夏のシンデレラになったのか、坂詰の言葉とともに彼女の過去、現在、未来に迫る。
全米女子オープンでは“8年ぶり”の予選通過
4月に行われた日本予選での「全米女子オープン」の出場権獲得。これがシンデレラストーリーの始まりだった。
3月の「ヤマハレディースオープン」で初の予選通過を果たすと、5月の「ブリヂストンレディス」ではプロを上回る270ヤードの飛距離に一躍注目が集まった。12社のサポートを受けて臨んだ6月の「全米女子オープン」では日本人アマチュアとして8年ぶりの予選通過を果たし(最終順位は49位タイ)、この大会はその後の快挙に繋がる大きな経験となった。キャディーとして同行した坂詰が振り返る。
「日本では間違いなく飛ぶ方ですけど、あそこに行ったら、同じぐらい飛ぶ選手、咲希より飛ぶ選手が何人もいる。それを見たら練習日からドライビングレンジで上半身に力が入ってしまって、力んでるんですよ。『そんな練習ならしない方がいいよ』と言って切り上げることにしました」
海外メジャーという初の大舞台、本人は入念に調整をしたいはず。それでも「ここで練習しても急にはうまくならないし、ずっと頑張ってきたんだから急に下手になることもない」と言うとすんなり納得した。「ゴルフに必殺技はない」とはまさにこのことだった。