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17歳馬場咲希の素顔とは? 中1から指導するコーチの言葉で振り返る、37年ぶり快挙の舞台裏「いつもおしゃべりばかりしていて…」
text by
田中宏治Koji Tanaka
photograph byUSGA/Darren Carroll
posted2022/08/20 11:03
歴史的な圧勝劇で全米女子アマを制した高校2年生の馬場咲希。1985年の服部道子以来となる37年ぶりの快挙だった
馬場が嫌がっていた弾道の高さも世界では普通だった。
「クラブもボールもスピンが減る方向に進化していて、今は高い球でグリーンに止める時代。高い球でキャリーが出れば、ハザードも超えられるし、他の選手が刻むところで林越えを狙うこともできる。高い球は有利なんだよと何度説明しても、本人は弾道を低くしたいと言っていました」
百聞は一見に如かず。世界のトッププレーヤーたちがさらに高い弾道を打っているのを見ると、コンプレックスはあっという間に消え去った。
自らのプレースタイルに自信を持つと快進撃は加速した。2週後の「日本女子アマ」は9位タイ。7月の「全米女子ジュニア」ではマッチプレー2回戦で敗れたものの、予選トップタイでメダリストに輝いた。さらに帰国直後に臨んだ「関東ジュニア」では優勝を手にした。
そして、「全米女子アマ」に向けて、この夏3度目の渡米。課題は体力面だった。
7日間の大会を最後まで戦い抜く
「日米を往復して試合をこなしてきたので体力は落ちていました。『全米女子ジュニア』の2回戦で敗れたのも疲れが大きな要因。今回も大会4日目、2回戦が鬼門かなと思っていました」
しかし、それも杞憂に終わる。反省を生かし、食事の改善など、体力維持に努めた馬場は予選を34位タイで突破すると、鬼門の2回戦では予選を首位通過の中国選手を破り、ベスト16に進出。逆にラウンドを重ねるごとに調子を上げるような戦いぶりで大会7日目となる決勝の36ホールマッチでは11アンド9という歴史的な圧勝劇を見せた。
大会期間中、坂詰のもとには何度か、ショットもパットも調子が良くないと相談の連絡が来ていた。そのたびに伝えたのは「今までやってきたことを続けるだけ」というシンプルなメッセージ。必殺技が返ってこないことは馬場も分かっていただろう。