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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
衝撃のユニット脱退はなぜ…スターダムの“絶対的ヒロイン”なつぽいが語る真相「心の底から“潰してやる”と思われたかった」《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/08/20 17:03
今年7月、DDMからコズミック・エンジェルズへ移籍したなつぽい。大きな決断を下した現在の胸中を明かした
スターダムの“絶対的ヒロイン”へ
今年に入ると、スターダムの“絶対的ヒロイン”という立ち位置を明確に言葉にした。漫然と試合をしていては出てこない発想であり言葉だ。
「スターダムでの自分って何だろうと考えたんですよ」
団体には“アイコン”と呼ばれる岩谷麻優がいる。“アイドル”なら中野たむ、所属してきたユニットDonna del Mondo(DDM)のジュリアには妥協のない闘いと“狂気”のイメージがある。
「私はどれでもないなって。強くて絶対に負けない“エース”とか“ヒーロー”でもないし。逆に体が小さくて攻め込まれることも多い。でも、そこで頑張るから応援したくなる……これって“ヒロイン”かなって。それにいろんな物語を見ると、ヒーローじゃなくヒロインが展開を動かすことも多いじゃないですか」
“ヒロイン”なつぽいの衝撃的な裏切り
今年7月、ヒロインは大胆な行動でファンを驚かせた。9日の立川大会、DDMと中野たむ率いるコズミック・エンジェルズ(コズエン)の5vs.5対抗戦が佳境となったところで、なつぽいが味方のジュリアをジャーマン・スープレックスで投げ捨てる。勝ったのはたむ。一瞬、場内が静まり返るほどの衝撃的な裏切りだった。マイクを握ってなつぽいが言う。
「私はやりたいことができた。たむちゃんの隣でそれを叶えたい」
DDM離脱、コズエン電撃加入。妖精のいたずらにしては度を越していたが、もちろんいたずらではなかった。覚悟を決めての行動だった。
「レスラーとしてもっと上に行きたいっていうのは、ずっと考えてたんですよ。やりたいこともあって。それは他の人にはできないことだから。本当は自分1人でやろうと思ってました。でも、たむちゃんと一緒ならやりたいことがもっと広がるなって。心も体も思いきりぶつけ合って、そう感じました」
「たむちゃんが私の一番の理解者なんだなって」
なつぽいとたむは、6月にシングル2連戦を行なっている。6.26名古屋大会でのケージ(金網)マッチはたむが勝利。2日後の後楽園ホールではなつぽいが勝った。スターダムでたむに勝ったのは、これが初めてだった。
たむがデビューしたのもアクトレスガールズだ。優しい先輩の「なっちゃん」とはプライベートでも仲が良かった。だがたむは独自の道を選択し、アクトレスガールズを離脱。スターダムでトップ選手に駆け上がる。昨年の日本武道館大会では、メインでジュリアとの髪切りマッチに勝利した。
今度はなつぽいが追う側になった。昨年はたむが保持していた“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダム王座に挑戦している。敗れたものの泣きながら張り手を連発するなつぽいの姿は強烈な印象を残した。旧知の関係だからこそ負けたくない。「憎み合ってました」となつぽい。
「でも、憎み合っていながらもどこか愛を感じました。たむちゃんが私の一番の理解者なんだなって」