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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「かけがえのない存在、かな」ついにタッグ再結成、中野たむ&なつぽいは息が合わないから強い?「譲り合ったらウチらじゃない」《Wグラビア対談》
posted2022/08/20 17:04
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takuya Sugiyama
予想外の展開だった気もするし、必然のようでもある。この夏、スターダムのなつぽいは所属ユニットをDonna del Mondo(DDM)からコズミック・エンジェルズ(コズエン)に変え、中野たむとタッグを組んでいくことになった。
2人は昨年の“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダム王座戦、今年6月のシングル2連戦と、常に激しくやり合ってきた。2連戦は1勝1敗。それまで「組むという発想がなかった」というなつぽいだが、スターダムでのたむ戦初勝利を経て、変化があった。
なつぽい「たむちゃんには見透かされてる」
なつぽい「試合でバチバチやり合うのもそうですけど、試合に向けて言葉をぶつけ合うことで“たむちゃんには見透かされてる”って感じがしたんです。敵ではあるけど、味方以上に私のことを分かってるんじゃないかって」
代名詞だった白いベルトを昨年末に失ったたむのことを、なつぽいは悪い意味で落ち着いてしまったと感じた。だから「引退でもするの?」と煽った。すると試合後、たむはこう返した。
「たむは引退なんかしない。なっちゃんのことも絶対、引退させないから」
そういう言葉がくるとは思わなかった、となつぽい。彼女が現状に満足していないことを、たむは感じ取っていたのだろう。
中野たむ(以下、たむ)「意識してたつもりはないんですけどね。私が細かく見てるんじゃなく、なっちゃんが信号を発してるんですよ。たむと白いベルトを争った時のような燃える闘いが最近できてないから、私を煽ってきたのかなって。SOSじゃないけど、たむなら分かってくれるという感覚だったのかも。もちろん応えますよ、なっちゃんは私のプロレス人生において絶対に必要な人なんだから」
アクトレスガールズ時代に生まれた絆
アイドル活動をしていたたむは2016年、アクトレスガールズでレスラーデビューを果たす。同じ団体で1年前からリングに上がっていた1期生がなつぽい。当時のリングネームは「万喜なつみ」だった。「大げさに言わなくても、雲の上の存在でした」とたむは言う。
たむ「アクトレスガールズは万喜なつみと安納サオリの2枚看板。それは絶対に揺るがなかった。越えられなくて当然、悔しいとも思わないくらいの感覚でしたね。しかももの凄く優しい先輩なんですよ。ディアナに出稽古に行った時は練習がきつすぎてチアノーゼが出たんですけど、なっちゃんが“一緒に頑張ろう”って励ましてくれて。伸び悩んで“プロレスはもうダメかも”と思った時も寄り添ってくれました。全然偉ぶらない、いい先輩なんです」
けれど別れの時が来た。たむは「もっと強くなりたい、本物のレスラーになりたい」という思いからアクトレスガールズを離れた。
たむ「先輩も同期もみんないい人ばかり。温かい環境だったけど、それに浸かってはいられないなって。だからやめる時は辛かった。急にやめたから嫌われても仕方ないと思ってました」