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スランプの巨人・岡本和真の身近にいる“いいお手本”? 新4番・中田翔の“結果”にみる変わる勇気「チャンスが岡本を追いかけてくる」
posted2022/08/16 11:03
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Naoya Sanuki
チャンスが岡本を追いかけてくる。
巨人・岡本和真内野手の打撃不振が深刻だ。
8月14日の広島戦の第1打席で左翼線に二塁打を放ったが、これが実に20打席ぶりの安打だった。本塁打にいたっては7月はわずかに1本。8月も7日のヤクルト戦で放って以来、快音は聞こえてこない。7月の月間打率は2割2分2厘まで落ち込んだが、8月はさらに落ち込み、14日現在で1割8分2厘と低迷が続いている。
この結果に原辰徳監督は8月11日の中日戦で、2019年以来守ってきた「4番」を外して「6番」で起用。“環境”を変えることで再起へのきっかけを探ったが、それでも「6番」岡本を追いかけるようにチャンスがことごとく巡ってくる。逆転負けを喫した12日の広島戦では5回2死一、三塁で左飛、8回1死二塁で捕邪飛。第1打席で二塁打を放った14日の広島戦も8回2死一、二塁の追加点のチャンスに打席が回って右飛と一発どころかタイムリーも出ない。
岡本のスランプの要因とは?
それが本人により大きな重圧となって迷宮にはまり込んでしまったようにも見えるのだ。
様々な人が様々な分析をおこなっている岡本のスランプの原因。技術的にはインパクトで身体が前に出ていわゆる「打ちにいってしまう」のは、本人も十二分に分かっていることなのだろう。
以前に中継の解説をしていた掛布雅之さんが指摘していたように、テークバックで背番号の「25」という数字が見え過ぎるということも原因となる。おそらく本人は力感を求めるからなのだろうが、グリップを後ろではなくインに、背中側に引き過ぎる。だからセンターカメラから背番号が全部見えるが、そうすると今度は反動で早く左肩が開いて身体が前に出てしまう。少しクローズ気味に立っていることも、そこに輪をかけているようにも見える。
おそらく本人はそれこそ死ぬ思いで様々な試行錯誤を繰り返して、それでも築き上げてきた自分の感覚を大事にしているのだと思う。
そういう頑固さこそ、プロ野球選手が大成する1つの条件なのだが、その変えない頑固さを捨てる勇気も壁を突き破るためには必要なのかもしれない。
自分の打撃への頑固さで言えば、やはりかなり頑なだった選手がいる。