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F1の「消えた悪童」マゼピンは今何してる? ロシア国内ラリーで優勝、金メダリストとビーチバレーも…本人は「まだまだドライブに夢中」 

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万葉了

万葉了Ryo Bamba

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photograph bySPUTNIK/JIJI PRESS

posted2022/08/14 11:03

F1の「消えた悪童」マゼピンは今何してる? ロシア国内ラリーで優勝、金メダリストとビーチバレーも…本人は「まだまだドライブに夢中」<Number Web> photograph by SPUTNIK/JIJI PRESS

7月、シルクウェイラリーで優勝し嬉しそうなマゼピン。F1のシートを失った3月以降、彼はロシア国内で何をしてきたのか

「間違いでなければ30時間以上ハンドルを握った。ここではチームワークが非常に重要だった。以前は自分一人でマシンに座っていたが、(今回は)チームのナビゲーターがどう働くかのほうが重要な場面が多かった。F1との共通点はたったひとつ、ハンドルと4つのホイールだけだった。とても暑く、とても困難で、そして真の試練だった。優勝することができて信じられないほどうれしい」(ノーボスチ通信に)

 同月にはロシア版フェイスブック「フコンタクテ」の運営会社、VKが国内3都市で開催した総合野外フェスに姿を見せた。出場したビーチバレーの試合では、東京五輪で体操男子を団体総合金メダルに導いたロシア体操のエース、ニキータ・ナゴルニーのチームと対戦。マゼピンのチームは水泳で北京五輪銀メダルのアレクサンドル・スホルコフに加え、ソチ五輪フィギュアスケート団体で金メダルを獲得したエカテリーナ・ボブロワという豪華布陣で臨み、15‐12、15‐11で2セットを先取、ストレートで見事勝利を収め、自身のインスタグラムに笑顔で肩を組む写真を投稿。充実ぶりをアピールした。

復帰へ立ちはだかる2つの壁

 F1界から断絶されながらも前向きな活動を続けるマゼピンだが、今後のキャリアには2つの壁がある。

 ひとつは、ハースとの係争だ。ハースとスポンサー契約を結んでいたウラルカリは、契約を一方的に打ち切られたとして、すでに支払っていた契約料の頭金1300万ドルの返還を求めて提訴に踏み切った。一方、ハース側も契約解除による逸失利益860万ドルの賠償を主張しており、両者の関係には軋轢が生じている。

 マゼピン個人も未払い賃金860万ドルを支払うよう主張してハースを提訴していて、スポーツメディア『Championat.com』にこう意見を述べている。

「契約解除の際、ハースには今年分の賃金の未払いがあった。そして、彼らはまだそれを支払っていない。雇用主は少なくとも解雇までの賃金を補償し、おそらく退職金も支払うべきだと思うのだが。そして、全世界から爪弾きにされている状況では、(未払いは)道理に反しているといえるだろう」

 もうひとつの壁は、その「全世界」からの制裁だ。

【次ページ】 父との関係が重い足かせに…

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