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鍵山優真「スピンは大きく変わったので…」フィギュアの“ルール改正”で試行錯誤する選手たちの本音は? 坂本花織「コケたりします」
posted2022/08/14 06:00
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
AFLO
「スピンの難しい出方」って一体何だ? シーズンオフ、選手達の間でこんな質問が相次いだ。
国際スケート連盟は、'22-'23シーズンに向けて大きなルール改正を行った。中でも多くの選手が戸惑っているのが、「スピンのバリエーションを増やすため」として追加された、レベル4獲得の新基準だ。6つ列挙された特徴のうち1つを行わねばならず、その中の聞き慣れない特徴が「難しい出方」というもの。その定義を「スピンの出方を難しくする動きやジャンプで、バランスやコントロールに大きな影響があるもの」としているが、具体的にはどんな動きを指すのか、想像がつきにくい。
日本スケート連盟は、7月上旬にシニア選手の強化合宿を開催。技術委員が講師として参加し、ルールの座学や、レベル4を獲るための個別の修正を行った。
鍵山優真は、スピンの最後に1回転するバレエジャンプを加える、という動きを取り入れた。スピンの回転軸が安定していないと最後にジャンプを付けられないため、より質の高いスピンが求められるという。
「スピンは大きく変わったので新しい挑戦になります」(鍵山)
試行錯誤する選手たちの本音「コケたりします」
坂本花織は、スピンの最後に上半身をぐるっと下に回すウィンドミルを入れるなど試行錯誤。
「ショートとフリーで6種類全部違うスピンにしたのですが、去年までと同じものは2つだけ。まだ慣れていないのでコケたりします」(坂本)
転倒すれば「-1点」となるため、リスクも踏まえて調整していく。
合宿に参加していなかった宇野昌磨も「これまで『難しい入り方』はやっていたんですが、『難しい出方』というのを取り入れたいと思います」と話している。
また6つの新基準の1つ「難しい姿勢変更」に取り組む選手もいる。シットスピンから、立ち上がりながら後方で足を掴み、キャッチフットスピンに繋げるのは、樋口新葉や松生理乃だ。
「スピンの途中で回転を速めることが出来ず難しいので、もっと練習したいです」(樋口)
「今までのスピンではレベル4にならないと分かり、この姿勢変更を加えて練習します」(松生)
より魅力のあるスピンを目指し、選手達は進化を続ける。