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甲子園の風BACK NUMBER
“甲子園中止世代”あの磐城高エースは今、神宮球場で…「あの時、同級生が野球をやめるのを止めてよかった」「同じ学年の人たちは仲間」
text by
元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph byNumber Web
posted2022/08/09 17:01
磐城(福島)から立教大に進学した沖政宗(2年生)
「結果を欲しがって、目の前の一球を意識しすぎたのかもしれません。打たれたらダメと思いすぎて力みが出て。シートバッティングで打ち込まれることが多くなりました。そんな時、溝口智成監督に呼ばれたんです。『ごちゃごちゃ考えないで、自分のいいところをアピールしろ』と。気持ちがふっと楽になりました。『野球を楽しもう』って」
ベンチ入りできるかどうかという瀬戸際で、野球を楽しめる選手は多くない。とはいえ、力みが出るとプレーが小さくなり、本来の力が出せなくなる。
「フレッシュな気持ちで、目の前のバッターと対戦することだけに集中しようと。考えすぎずに、『自分の力がどれだけ通用するか試してみよう』と思えるようになりました」
立教大学には、ドラフト候補の荘司康誠(新潟明訓)のほか、島田直哉(龍谷大平安)や宮海土(國學院栃木)など実力のあるピッチャーがいる。
「そうした方々に比べると、まだ自分に力がないということもわかっています。だからこそ、まずはベンチでたくさん声を出す。そしてチームが苦しい時に、流れを変えられるピッチングをしたい、と」
春季リーグ戦で活躍…「やっぱり自分はコントロール」
4月23日の慶應大学戦にリリーフに立った沖はその後、東大戦で2勝を挙げ、優勝のかかった明治戦では3連投。春季リーグ戦10試合(1先発、8完了)に登板し、2勝1敗、防御率1.54という好成績を残した。
「春のリーグ戦ではチェンジアップがうまくハマりましたね。球速など足りない部分はあるけど、やっぱり自分はコントロール。この武器を磨き続けて、ピッチングは球速だけじゃないということを証明したいと思います」
2017年春以降、優勝争いに加わりながらも頂点に手が届かない立教大学のキーマンだ。