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甲子園の風BACK NUMBER
「何のために野球をやってきたのか」“出場するはずの甲子園”が中止→野球部の解散危機…あの磐城高エースが「マウンドで涙が止まらなかった」理由
posted2022/08/09 17:00
text by
元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph by
Sankei Shimbun
「甲子園中止世代の逆襲」第1回 立教大・沖政宗(磐城)
2年前は「甲子園のない夏」だった。
2020年5月、夏の甲子園大会とその出場権をかけた地方予選の中止が発表。その後、各都道府県で独自大会、さらにセンバツ出場予定だった32校による「甲子園交流試合」が行われたが、全国の球児たちは複雑な思いを抱えていた――プロ野球であれば2年目、大学に進んだ選手なら2年生の夏。「甲子園中止世代」の今を追った。(全2回の前編/後編へ)
2年前は「甲子園のない夏」だった。
2020年5月、夏の甲子園大会とその出場権をかけた地方予選の中止が発表。その後、各都道府県で独自大会、さらにセンバツ出場予定だった32校による「甲子園交流試合」が行われたが、全国の球児たちは複雑な思いを抱えていた――プロ野球であれば2年目、大学に進んだ選手なら2年生の夏。「甲子園中止世代」の今を追った。(全2回の前編/後編へ)
◆◆◆
2020年が高校3年生だった世代。
プロ野球では、中日ドラゴンズの髙橋宏斗が4勝をマーク(防御率2.53)し、読売ジャイアンツの中山礼都(ともに中京大中京)はキャプテン・坂本勇人の穴を埋めるべく奮闘中。東京ヤクルトスワローズの内山壮真(星稜)は51試合に出場し、好守ではつらつとしたプレーを見せている。
東京六大学でも、2年生の活躍が目立つ。春季リーグ戦を制した明治大学のショートで三番を打つ宗山塁(広陵)が打率.429で首位打者を獲得し、ベストナインにも選ばれた。早稲田大学の印出太一(中京大中京)は13試合にマスクをかぶり、打率.349をマークした。そしてもうひとり、2勝1敗という成績以上の輝きを見せた選手がいる。立教大学の沖政宗(磐城/いわき)だ。
“46年ぶりセンバツ”が幻に…
エースの沖を擁した磐城は2019年秋の東北大会でベスト8入りし、21世紀枠でのセンバツ出場が決まっていた。46年ぶりのセンバツ出場で地元は大いに盛り上がったが、それは夢と消えた。20年3月11日に中止が発表されたからだ。沖が当時を回想する。