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「YUSHIの華は認めるが…」RIZINでの“ホスト対決”に朝倉未来の『BreakingDown』、「何でもあり」に傾く格闘技界への疑問 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2022/08/08 17:01

「YUSHIの華は認めるが…」RIZINでの“ホスト対決”に朝倉未来の『BreakingDown』、「何でもあり」に傾く格闘技界への疑問<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

華やかな入場で『RIZIN.37』を盛り上げたYUSHI。一方で「格闘技」の線引きについて考えさせられるマッチメークでもあった

若手ファイターからは「宴でやれ!」の声も

 堀口恭司が注目する日本人ファイターのひとりに挙げる20歳の総合格闘家・鶴屋怜は、自身のTwitterにYUSHIと覇留樹の試合の画像を挙げたうえで「宴~UTAGE~でやれ!」と呟いた。下から一歩ずつ上がっていくプロセスを経て表舞台に出ようとしている選手にとって、これほど目障りなマッチメークはない。華があれば何をやってもいいのか、ということだ。

 YUSHIも、世間から冷ややかな見方をされていることは十分すぎるほど理解している。試合後はこんなマイクアピールもあった。

「まだ僕のレベルが低くて、『なんでコイツが(RIZINに上がるのか?)』とよく言われました。でもそれがエネルギーになって、見に来てくれた人、会場入りから試合まで全部カッコいいところを見せようと思って、ずっと練習してきました」

 選手側の価値観と主催者の思惑は必ずしも一致しない。特に格闘技の場合はボクシングのような統一コミッションがないので、YUSHIのようなグリーンボーイがビッグマッチにいきなり起用されたとしても公に非難されることはない。

 かつては他の格闘技と明確な線引きをしていたボクシング界も、世間の流れに敏感に反応するようになった。去る8月5日には、日本ボクシングコミッション(JBC)公式サイトで「JBC管轄の試合と同一日時の同一会場で行われる格闘技イベントに関する解釈基準」を発表した。これは8月14日、亀田興毅がプロデュースする大阪のボクシング興行で、JBC管轄外の試合としてキックボクサーの皇治がボクサーのプロライセンスを持つ福重浩輝と拳を交わすことに対応したものだ。

 ちなみに『RIZIN.37』でのYUSHIvs.覇留樹は特別ルールの試合として組まれた。通常RIZIN本戦のMMAの試合時間は5分3ラウンドながら、特別ルールは3分3ラウンド。双方の総合格闘家としてのスキルを考えたら賢明な判断だろう。試合時間で差別化したところに、主催者のギリギリの良心を感じる。

【次ページ】 いまや格闘技の世界そのものが「何でもあり」に?

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