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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「亮、待っています」中村憲剛が前十字靭帯断裂の宮市亮に送るエール…E-1得点王&MVPの相馬勇紀は「覚悟のレベルが高かった」
posted2022/08/10 17:01
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
AFLO SPORT
カタールW杯のメンバー入りを懸けたラストチャンスとも言われた大会で、多くの選手が存在感を発揮した。2008年と10年開催の大会に出場した元日本代表の中村憲剛氏も、チームのパフォーマンスを高く評価する。前編では、短期間でチームにまとまりが生まれた理由や、右膝前十字靭帯断裂の重傷を負った宮市亮へのエール、そして大会MVPに選ばれた相馬勇紀のプレーについて話を聞いた。(全2回の1回目/後編へ)
今回のE-1選手権に臨むにあたって、森保一監督には目標がふたつあったと思います。ひとつは優勝すること。もうひとつは9月の欧州遠征への選手の見極めです。終わってみれば、そのどちらの目標も達成されたのではないかと思います。
香港と中国は力が落ちる相手で、韓国はいまひとつの出来でした。とはいえ、招集された選手たちにとっては国際経験を積むことができ、W杯へのアピールができる貴重な機会です。それを無駄にすることなく優勝という結果につなげたのは、評価していいと思います。
選手たちはこの大会で成長するきっかけを得たのではないでしょうか。のちに振り返ったときに、「あのE-1選手権をきっかけに伸びた」と言われるような選手が、出てくるかもしれません。
チームに一体感を生んだ谷口、水沼らの振る舞い
僕自身はJリーガーのプライドを見ることができたと感じています。「海外組だけじゃない、オレたちもいるんだ」という心の叫びが、ピッチから聞こえてくるようでした。
優勝を後押ししたのは、チームの一体感でしょう。
キャプテンを任された谷口彰悟と、年齢が上の佐々木翔や水沼宏太らが、ピッチの内外で果たした役割は大きかったと思います。とりわけ谷口は守備を統率するだけではなく、短期間で「チーム」にまとめ上げました。水沼はプレー中もベンチでも、絶えず声を出していました。
カタールW杯の代表入りへ向けて、個人的なアピールに走ってもおかしくないなかで、短期間でとてもしっかりとまとまっていたように見えました。試合に出る、出ないに関わらず、チーム全員が同じ思いを抱いて戦っていくことは、優勝するためにはとても大切な部分です。そこで大きな役割を果たしていたのが谷口であり水沼だったと、トレーニングや試合後のコメントや振る舞いを見ていて感じました。もちろん、選手たちのピッチの内外での姿勢は、森保監督もチェックしていたでしょう。