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プロ野球PRESSBACK NUMBER
外国人担当スカウトが断言「女性問題を抱えている選手は活躍しない」…プロ野球“史上最悪の助っ人”は「ケガをしてるのにディスコに」
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2022/08/02 11:02
敏腕で知られた元国際スカウトに聞く、「アタリ助っ人」の見極め方とは(写真はイメージです)
なぜ、マイナーリーガーに注目するのか
中島さん自身、MLBで実績はなくとも日本で通用するマイナーリーガーを発掘することに生き甲斐を感じてきた。とくにヤクルト在籍時は予算も限られていたため、「安くていい選手」を見つける必要があった。スカウトを退任した今も、そうした境遇の選手に目が行くのだろう。
「マイナーリーガーはハングリーで、日本で成功したい思いが強い。だから日本式のやり方にも従ってくれるし、日本の選手も受け入れやすい。逆に実績のあるメジャーリーガーはプライドが邪魔して、うまくいかないケースも多いです。球団も大金を払っているので、活躍してもらえないと困るわけです」
ウォーカーは打撃面で活躍する一方、スローイング難という問題が取り沙汰されている。「中島さんでもウォーカーをスカウトしますか?」と尋ねると、「とります」と即答だった。
「外国人選手は打てばいいんです。ラミレスだって守備はうまくありませんでした。もっとも大事なことは、相手のエース級を打ちのめす打撃力があることです」
「女性問題を抱えている選手は活躍しません」
その一方で、メジャー実績は十分ありながら過去に女性への暴力行為で逮捕歴のある選手に関しては「僕ならとらないです」と語った。中島さんには絶対的な経験則がある。
「女性問題を抱えている選手は活躍しません。これは間違いありません」
確信に至る原点は、「史上最悪の助っ人」と評されたジョー・ペピトーンである。中島さんは外国人スカウトになる前にヤクルトの通訳として働いており、最初に担当したのがペピトーンだった。MLB通算1315安打、219本塁打の実績がありながら、来日後は夫人との離婚調停のため一時帰国するなど波乱を巻き起こした。
「ペピトーンが日本で残した悪評は100パーセント真実です。(クリート・)ボイヤー(元大洋)の部屋に寝泊まりして、国際電話を1日で40~50万円分かけたり、アキレス腱を切るケガをしてるのに夜にはギプスをハサミで切ってディスコに行ったり。そもそもアキレス腱を本当に切ったのかもわかりません。とにかくひどいヤツでした」
当時は通訳がホテルに同宿する時代でもあり、女性遊びをする外国人選手はすぐにわかった。遊び疲れて力を出せない選手を見て、中島さんは「当たり前だ」と情けない思いがしたという。