武蔵丸の辛口御免 Oh!相撲BACK NUMBER
「ここまでやっていたのに?」“ご意見番”武蔵丸もショック、23人休場で異例事態の名古屋場所…逸ノ城の優勝は「ビックリした」
posted2022/07/26 17:03
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph by
Sankei Shimbun
全国的にまたコロナウイルスが蔓延し、相撲協会も大変な場所だった。
十両以上の関取は、故障での休場者を含む23人、全体では3割近い174人が休場することになってしまったんだよね。
わが武蔵川部屋も感染者が出て、10日目から全員が休場することに……。
みなさん、いろいろご心配をお掛けしました。PCR検査を受けた結果、僕は陰性。
日ごろから相撲協会は徹底して感染予防に務めていたんだけど、それでも出ちゃうって「もうこれ以上どうしたらいいんだろう?」と思わずにはいられなかった。
外出禁止はもちろんのこと、うちの部屋の場合、名古屋場所での稽古場は外にあり、デカい扇風機2台をブンブン回していたのね。お客さんの稽古見学も遠慮してもらっていたんだ。顔見知りの人に「コンニチワ」も言えないほどで、それが申し訳なくてストレスでもあったんだ。
もう、それでも感染者が出てしまうのかって、本当にショックでね……。
「ここまでやっていたのに?」と、僕は体の調子は悪くないけれど精神的に落ち込んでしまったな。
これから随時名古屋から東京に戻るんだけれど、陽性反応が出て隔離されているお相撲さんもいるし、濃厚接触者の移動時期や方法など、いろいろと指示を仰がないといけないんだよね。
「ビックリした」逸ノ城、初優勝の要因は?
日を追って休場者が増えていく前代未聞の場所となったなか、前頭2枚目の逸ノ城が初優勝したね。
正直言って「ビックリした」。確かに勝てるところは勝っていた。
でも、今場所、特に力強さがあったとかではなく、いつもと変わらないように見えていたからね。いつも相手の調子に合わせて組み合っちゃうのが逸ノ城。
今後「大関を目指す」のなら、この優勝で天狗になるようなことなく、ちゃんと師匠の話を聞いてね。