武蔵丸の辛口御免 Oh!相撲BACK NUMBER
「ここまでやっていたのに?」“ご意見番”武蔵丸もショック、23人休場で異例事態の名古屋場所…逸ノ城の優勝は「ビックリした」
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph bySankei Shimbun
posted2022/07/26 17:03
写真は名古屋場所12日目、コロナ関連で休場者が多く、力士が減ってちょっと寂しい十両土俵入り
優勝できたのは、横綱照ノ富士が元気がなかったことも、ひとつあると思うんだ。
あと、押し相撲が得意な大栄翔や若隆景、阿炎などが今ひとつピンと来なかったからかも?
押し相撲って、四つを得意とするお相撲さんの倍くらい疲れるものだから、この異常な暑さも影響したのかなぁ。
正代は2日早く“やる気スイッチ”を押してればなぁ…
前頭筆頭の霧馬山も勝ち越して、足腰が強くていい相撲を見せてくれるんだけど、それだけじゃ上に上がれない。自分の型をもっと磨いてね。あとあまりヘラヘラしないように(笑)。ニコニコ笑顔が可愛いという声もあるけど、「相撲道」というのも今後は頭に入れて、上を狙ってほしいんだよ。
6勝9敗と負け越したものの、若隆景のお兄ちゃんの若元春はよかったね。14日目、霧馬山との取り直しになった相撲など、ベストバウトだったよ。体が大きくないし、頭をつけて得意の左四つをもっと磨け! 今場所は前頭4枚目で、ある面上位陣には”ニューフェイス”だったでしょ? 今後は相撲を覚えてこられちゃうからね。
弟の若隆景も、勝ち越したものの、今場所は立ち合いでまわしを取られて上体が起こされちゃう場面がよくあった。周りが研究してくるんだよ。立ち合いから押して、まわしを取らせないように、相手の研究のさらに上を行かなきゃね。まだスピードが足りない。自分より大きい相手には、よりスピードを意識してな。
カド番大関だった正代は、初日から3連敗でどうなることかと思ったけれど、6日目からは7連勝で、逸ノ城や照ノ富士にも勝っちゃった。終わってみれば10勝でしょ? もう少し早くからスイッチ入れていれば、優勝できる可能性もあったのにな。もう2日くらい早くから”やる気スイッチ”押してればなぁ……。
とにかく今場所は無事に千秋楽までいけるのか、みなさん心配してくれた場所だったと思うんだけど、相撲としては面白かったと言えるよね。
土俵入りも寂しくて取組数も少なくなり、お客様には申し訳なかった。でも、お相撲さんたちは最後までいい相撲を見せてくれたと思ってる。
僕たちももちろんのことだけど、みなさんも今しばらく感染拡大に注意して、この暑い夏を乗り切りましょう。
(構成=佐藤祥子)