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100m日本記録保持者・福島千里が初の800mに参戦!「見せ場をつくらないと…」「今回の緊張は予想を超えていた(笑)」《もう一つの世界陸上》
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2022/07/25 06:00
世界陸上のメディアレースに出場した100m、200m日本記録保持者の福島千里さん(左)とTVレポーターのデヴィンさん(右)
「エントリーしたきっかけは」
「昨日、イベントで子供たちに接しましたが、皆すごく楽しそうに走っていたので私も頑張ってみようかなと思って」
初の800m挑戦に、表情が冴えなくなり…
最初は楽しそうに答えてくれたが、男子のレースが進むにつれて表情は冴えなくなる。
聞けば800mを走るのは初めてとのこと。
「(現役時代に)ウォームアップでは2周(800m)くらいしていたでしょう?」と尋ねると、「1周でした」とつれない返事が。
「ちょっとウォームアップしてきたら?」
「それだけで疲れちゃいます」
その後、福島さんはなぜか階段昇降を始め、椅子に座り込んでしまった。
「100mレースとどちらが緊張しますか」
「同じくらいです」
未知の距離への不安なのか、緊張は収まらない様子だった。
まずは男子の部のデヴィンさん。笑顔でスタートにつき、名前を呼ばれると弾けるような笑顔を見せた。
スタートから飛び出し、1周60秒を切るペースで走る人をよそに、デヴィンさんは100m20秒程度で淡々とペースを守って走っている。後半少しキツそうだったが、2分36秒48の好タイムでフィニッシュした。
「想像していたよりもずっときつかった。ラスト200mで視界が暗くなって、ちょっと危ないなって思った。なんとかゴールできて良かった」と800mのキツさを実感した様子だ。
「世界大会で選手を見ていると、彼らはそもそも超人で、さっと現れて素晴らしいパフォーマンスができると勘違いしてしまう。でも実際、自分がスタートに立つと、めちゃくちゃ緊張するし、朝ごはんに何を食べたか、昨日、ちゃんと眠れたか、水分摂取をしたか、そんなことが気になってしまう。選手もいつもそういう気持ちを持っているんだなと実感して、彼らを尊敬する気持ちが大きくなった」
福島さんは最終組の女子の部。